判断
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」
「え?どういうこと?」
何かに気がついた天海。そう言われたティオスは何のことだかわかっていないような表情を浮かべている。だが、それを聞いたオーガストやオルガたちの表情が明らかに曇っていた。
「後方にいた魔導士たちが数人いなくなったが、こうやって残っているものもいる。何かあると思わないか?」
「あぁ、なるほどね」
天海は突然オルガとルーファスが前線まで上がってきたのが解せなかった。もしティオスの予想通り避難させることが目的なら、彼らは真っ先に連れていかれる位置にいたはずなのだから、
「あれはいわゆる別動隊といったところだろう。俺たちを倒すための方法でも、見つけたんじゃないか?」
完全に自分たちの作戦を見抜かれていることに動揺するオーガスト。それを見たティオスは天海の洞察力に改めて驚かされていた。
「天海は僕たちを倒す方法・・・どんなのがあると思う?」
ただ、ティオスはその考えを理解しつつも、やはり一つ納得がいかないところがあった。それはいかにして彼らが自分たちを倒すのかということ。妖精の心臓を体内に宿した状態のシリルでようやく互角に持ち込めた。しかしもうそんな力を彼は持っていない。もう自分たちを力で倒す術はないのに、何をしようとしているのかが解せなかった。
「さぁな。どこかから俺たちに対抗する戦士でも連れてくるのか?」
「ハハッ、そんな奴がこの世界にいるわけないじゃないか」
冗談交じりに言った相棒に笑っていると、彼もそれをわかっているからなのか、口元を抑えていた。
「やっぱり警戒するに値しないよ。それにもし強い奴が来れば・・・」
「あぁ・・・」
ようやく笑い終えた二人。ティオスは自らの最初の考えを信じることにした。なぜなら、もし不測の事態が起きようとも、彼は一人ではないのだから。
「強者が来れば俺が相手をする。お前を殺すためにはもっと強くならねばならないのだから」
己が目的のために必要なものを得られるのであれば、それを全て利用する。それこそが彼らがここまで来れた要因なのだ。
「そうと決まれば・・・」
考えが纏まったところで攻めに出ようとしたティオス。しかし、その時、彼の視界がわずかに揺れる。
「なんだ・・・さっきから・・・」
ずっと感じていた違和感。その正体に彼は気付くことができなかった。それが命取りになることも知らずに・・・
天海とティオスがいまだにヨザイネの策を見抜けずにいるその頃、彼女たちの方でも少しずつ変化が起き始めていた。
「時の狭間が少しずつ開いてきているわ!!」
「ディマリアさん!!グラシアンくん!!もう少しだ!!」
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