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SAO−銀ノ月−
第三十五話
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「途中で強くなるなんて……面白いわねっ!」

 後方のリディアからの、援護射撃ならぬ援護チャクラムが《The Damascus》の弱点であるはずの胴体部分に直撃するが、《The Damascus》はまるで怯まない……HPゲージは削られているが。

「このっ!」

 負けじと日本刀《旋風》を振りかざすも、水蒸気をあげる前となんら変わることのない翼手に弾かれる……横のヘルマンも同様のようだった。

 しかし、《The Damascus》も人型である以上腕は二本。

「得意になってんなよっ!」

 先程単独で向かっていき、手刀でやられていたクラウドの背後からの一撃。
しかも、無数の武器を操る彼の切り札たる真紅の薙刀だった。

 だが、クラウドの背後からの完璧な不意打ちは決まることはなく、《The Damascus》のいわゆる回転切りのような動作に俺、クラウド、ヘルマンの三人は三人とも翼手によって吹き飛ばされてしまう。
ヘルマンは両手矛でなんとか防いだようだが、俺とクラウド……特にクラウドはもろに当たり、結構なダメージをもらってしまう。

 そして、《The Damascus》は唯一翼手による回転切りを防いだヘルマンに標的をあわせるかと思いきや、どこかから鳴った笛の音を聞くや否や、その笛の音の方へ走っていった。

 その笛の音の主は――アリシャ。
彼女が奏でる角笛の音色であり、モンスターを引きつける効果を持っているのだが、武器を持たない彼女が使うことは自殺行為以外の何者でもないだろう。

 アリシャの近くにリディアはいるが、彼女の武器はチャクラムという遠距離武器であり、牽制にもならないのは先程証明済みだ。

「逃げろアリシャ!」

 しかし俺の声が届いていないのか、アリシャは構わず角笛を奏で続け、素早くなった《The Damascus》は即座にアリシャの元へ近づいた……が、それだけだった。

 いや、正確にはアリシャの元へ近づく前にいきなり《The Damascus》が転んだのだ……足下に何重にも張り巡らされた、硬い糸によって。

「作戦成功! リディアさんやっちゃって!」

 アリシャは明らかに裁縫スキルコンプリートの使い道を間違っていたが、そのおかげで《The Damascus》の動きを一時止められたのだ、良しとしよう。
しかし、素早くなった《The Damascus》もさるものではなく、つまずいた状態からすぐに起き上がった。

 《The Damascus》が起き上がるのを、今か今かと待ち構えているような女性が近くにいることは、不運だったが。

「あんまり、コッチは好きじゃないんだけどっ!」

 投擲武器《チャクラム》のスキルの習得には、《投剣》スキルと《体術》スキルがある程度
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