ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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「あーエライ目にあった……」
何とか岸にたどり着いた子供達は、びしょぬれになった服から水気を取るように絞り、息をつく。
ちょっと水を飲んだのか、丈がげほげほ咳き込んでいた。
大丈夫ですかーとヒカリが丈の背中をさする。
「あ、ああ…何とかね。」
ようやく落ち着いて、丈は苦笑いした。
クワガーモンに落とされた子ども達を、何とか助けようとデジモン達はそれぞれの特徴を生かして奮闘したが、それで助かったのなら今頃丈はびしょぬれになんかなっていないだろう。
虚しい結果に終わり、まず丈とゴマモンが水しぶきを上げて川に落ちる。
すかさずゴマモンが何か叫び、ゴマモンを中心にカラフルな魚が川の中から飛び出してくる。
それがどんどん広がって、最初に川の中に落ちた丈が助け出された。
魚が密集して1つの筏となったと同時に、子ども達とデジモン達が魚の筏に救出される。
目を白黒させていた子ども達が、助かったのだと安堵したのもつかの間、治が声を張り上げながら崖を指差した。
崖を崩したことで足場が脆くなり、そこにいたクワガーモンも巻き込まれて落ちてきたのだ。
空に飛んで逃げる暇もなかったのだろう。
崩れた巨大な岩と共に川に落下したクワガーモンを見て、ゴマモンは魚の筏を急かす。
だが小さな魚が密集した筏は、ほんの少しスピードを上げただけだった。
距離を離すことが出来ず、落ちた岩とクワガーモンが作り上げた巨大な水の柱が、つかの間の雨となって子ども達に降り注いだ。
「あ!」
太一の声が漏れる。大きな波が立ち上がって、太一達に襲い掛かってきた。
振り落とされまいと、子ども達は魚の筏に腹這いになって、必死にしがみ付く。
多少ぬるついているのは、この際我慢した。
ざっぱーん、と立ち上がった波によって岸に打ち上げられた子ども達は、今に至る。
魚の筏のお陰で服は多少水を被ったぐらいではあったものの、真っ先に落ちた丈は誰よりもびしょぬれだったので、丈の服が乾くまで休憩することにした。
樹の陰に隠れて、丈は脱いだ服を限界まで絞って水気をとり、日当たりのいい場所に置く。
下着までびしょぬれになってしまった丈は随分葛藤していたが、せっかく服が乾いても下着が濡れたままだと意味がないだろう、という太一の至極最もな意見に覚悟を決める。
他の子達は多少服が濡れた程度だったので、お日様の下でじっとしていればすぐに水気は飛んでいった。
へーっくしょん、と樹の陰から情けないくしゃみが聞こえる度に、気の毒に思う。
服を着る、という概念がないデジモン達は丈が服を脱いでどうして樹の陰に隠れているのか、さっぱり理解が出来ない。
ゴマモンが仕切りにこっちに来れば、日が当たらないから寒いんだよ、って丈に声をかけるけれど、丈としては冗談で
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