ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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いるヒカリと賢を、それぞれのお兄ちゃん達が笑顔を浮かべて大丈夫だよって安心させようとしているのが分かる。
太一はヒカリの頭をわしわしと撫でて、治は腰を落として賢と目線を合わせていた。
……もう一度、溜息。
「大輔?大丈夫?」
は、と我に返って顔を上げると、心配そうに大輔を見下ろしている空がいた。
電話を交代してもらった時、太一の下に行って何か話し合いをしていたのに、いつの間にかその話し合いが終わっていたようだ。
慌てて何でもないですって誤魔化して、どうしたんですかって尋ね返すと、一旦休憩することになったから、あっちに行きましょう、って空が指さす先には、少し小高い崖のようになっている個所。
子ども達とデジモン達がそこで一塊になって座り込んでいる。
ぼんやり考え込んでいたせいで、自分だけ出遅れたようだ、と大輔とブイモンは慌てて子ども達の下へと駆け寄って行った。
そして気付く。あれ?
「丈さんは?」
「あそこ」
遅れてやってきた空が電話ボックスの方を指差しながら答える。
振り返ってみれば、そこには諦めずに知っている番号に片っ端からかけては、がっかりしている丈の姿。
ここは自分達のいた世界ではないのではないか、という結論が出たばかりなのに、自分達が見知ったものを目にしたことで、諦めかけていた希望が再びわき上がってしまったと思われる。
凄い執念だと思うと同時に、一体どれだけの電話番号を覚えているのだろうかという疑問も浮かぶ。
そもそも電話が通じたとして、何をどう説明するつもりなのだろうか。
異世界に迷い込んだから助けに来てくれとでも、言うつもりなのだろうか。
子どもの悪戯で片付けられて終了なのは目に見えている。
結構しつこい性格してますね、とのたまったのは光子郎だった。
「……さってと、どうするかね?」
いつまでも電話をかけ続けている丈を見飽きた太一が、口を開いた。
見渡す限り海の向こうを単眼鏡で覗いた太一曰く、近くに他の島や大陸は見当たらないらしい。
アグモン達の言う通り、ここが島であるという疑惑が一気に浮上したところで考えることを放棄した太一達は、それよりも次のことを考えなければならなかった。
電話は使えない、海の向こうは何もない、ならば次に取る行動は、何だろうか。
「うーん、こっちからの電話が通じない、ってことは、向こうからかかってくる可能性も低いだろうなぁ……」
「せっかく手がかりになるかと思ったのにね……」
太一達の会話を聞きながら腹減ったな〜と、大輔はさっきからぐるぐる鳴っているお腹を押さえる。
それを聞き逃す治や空ではない。お腹空いた?って空は大輔だけでなくヒカリや賢にも尋ねる。
どうする?どうする?って大輔達は互いの顔を見やった。
正直に答えていいものか、考えあ
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