ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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太一も、妹のヒカリにはデレデレである。
兄妹喧嘩もしたことがないし、しているところを見たこともない。
それぐらいお兄ちゃんが大好きなヒカリにとって、離れ離れで暮らすなんてとても想像できないだろう。
考えただけでもヒカリは泣きそうになっているのだから、実際にその状況に置かれている賢の心情は如何ほどに。
『ケンー、リコンて何?』
パタモンが無邪気に聞いてきた。聞いたことのない単語を、大好きなパートナーが喋っているということで、興味も一押しである。
それが残酷な質問だなんて知らずに、パタモンは賢が答えてくれるのを待っていた。
しかし大輔もヒカリも、そして当事者である賢も、幼い故に離婚と言う言葉の意味をよく知らない。
だからお兄ちゃんが分かりやすく教えてくれた言葉を、そのままパタモンに教えてあげた。
「うんとね、親が喧嘩しちゃって、離れちゃうことだよ。だから僕とお兄ちゃんは兄弟だけど、離れ離れなんだ」
『……そうなんだ』
寂しい?ってパタモンは遠慮なしに問う。
ちょっとだけ、って賢は悲しそうに笑う。殿を歩いている治が、それを聞いていることなど気づかずに。
デジモンに親や兄弟姉妹という概念がないと知るのはずっとずっと後のお話なのだが、そんなこと大輔達は知る由もない。
『……ねぇ、ブイモン』
足の早い上級生達の後を追うのに必死に足を動かしながらも、お喋りを楽しんでいるヒカリ達と、殿を歩いてる治とガブモンに気づかれないように、プロットモンはパタモンを挟んで真ん中を歩いているブイモンにそっと話しかけた。
『何?』
『……さっき、大丈夫だったの?』
『何が?』
眉を顰めながら訪ねてくるプロットモンの意図が分からず、ブイモンはキョトンとする。
……気づいていないのか、それとも忘れているのか。
プロットモンの表情はますます渋いものとなった。
『さっきはさっきよ……“ヒカリに抱っこされた時平気だった”の?』
『っ……!』
『あ……』
ようやく合点がいったブイモンは、立ち止まってしまった。
隣を歩いていたパタモンも同様に。
だからすぐ後ろを歩いていた治とガブモンは、ぶつかりそうになって慌てて立ち止まった。
「……っと、どうしたんだい?」
『何かあったの?』
『……へ?あ、ああ、ごめん。何でもない』
背後に治とガブモンがいることをすっかり忘れていたブイモン達は、頭を振って誤魔化した。
何でもないようには見えないのだが、治が追及する前にブイモン達は歩き出してしまったので、挙げかけた手は行き場をなくす。
「………………」
しばらく宙を彷徨っていた手だが、治はやれやれと肩を竦めてまたズボンのポケットに突っ込むと、徐に歩き出した。
『……いいの?聞かなくて』
「ガ
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