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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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ピョコモンだったピヨモンがここが何処なのかを教えてくれたことを思い出した空が言った。
まだ小学5年生で、世界地図を覚え始めたばかりの空は、何処か外国の島にでも飛ばされたのだろうか、とその時は思っていたが、治の結論によりここが日本どころか自分達が知っている世界ではないことが判明したため、更に地理が分からなくなってしまった。
ピヨモン達は当たり前のように認識しているようであるが、不安は打ち消されるどころかますます大きくなっていくばかりである。

「島かぁ……絶海の孤島だったらまずくないか?」
「孤島なのかはどうか分かんねーけど、海ならさっき見えたぜ。行ってみるか?」

治の不安を打ち消すように、太一が言った。
何事も慎重な治に対し、まずはやってみようがモットーの太一である。
不安なら確かめればいいじゃないか、と笑う太一に、それもそうだなって治は苦笑した。
そもそも他に当てはない。ここが異世界だと分かった以上、太一達のような人間がいる可能性は限りなく低いのだ。
何をすればいいのか、どうすればいいのか途方に暮れていたところに差し込んだ、一筋の希望を逃してはならない。

『……ダイスケェ、お話終わったみたいだよ?』

上級生達の議論に飽きてブイモンと遊んでいた大輔は、太一達が動き出したので慌ててヒカリを呼ぼうとして、ふと視線を感じた。
じいいいいっと大輔を食い入るように見つめている、1つの陰。
さっきっから感じてはいたけれど、敢えて無視していた大輔は、とうとう耐えきれなくなって半目になってそちらに目を向けた。

「…何か用?」

これから始まるであろう大冒険の仲間に向かって、何か用?はないだろうに、大輔はその視線をずっと無視していた気まずさからか、ちょっと他人行儀に陰に尋ねた。
同じくプロットモンに促され、ヒカリが大輔の下に来たのはその時である。
ようやく気付いてもらえたからなのか、ぱっと笑顔を見せながら陰……賢は大輔に話しかけた。

「あ、あの、えっと、僕、賢!二年生なんだ!本宮くんと八神さん……だっけ?よかったら友達になろうよ!」

さっきっから一体何の用で大輔達を見つめていたのかと思えば、友達になってほしい宣言に、大輔とヒカリは呆気にとられた。
無理もない、大輔達はこのメンバーの中では最年少だ。
これから先どうなるのか上級生ですら手探り状態の中、どうしたって下級生の彼らは置いてけぼりになってしまう。
庇護の対象として見られている彼らは、上級生達の難しい議論にすぐ飽きてしまうだけでなく、彼らを不安にさせてはいけないと躍起になって、上級生達の議論に混ぜてもらえない可能性が非常に高い。

「おう、いいよ!よろしくな。俺のことは大輔でいいから」
「私も、ヒカリでいいよ」
「じゃあ、僕も賢で!」


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