ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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小学5年生とは思えない理路整然とした、それでいて分かりやすい説明に、狼狽していた子ども達はすとんと腑に落ちた。
自分達の名前を知っている不思議な生き物と出会い、子ども達の3倍はあるクワガタに追いかけられて、色々と追い詰められかけていたが、少なくともここが自分達の知っている場所ではないということが分かっただけでも、大きな収穫である。
だってそうだろう、デジモンと名乗る不思議な生き物が自分達のいる世界に存在しているなんて、考えたくない。
治の説明により、落ち着きを取り戻した丈も、徐々にだが現実を受け入れ始めたようだ。
「治の言う通り、本当にここが異世界だとしたら……どうすればいいんだ?」
「そこですよねぇ……」
「助けを求めるには絶望的な状況だよなぁ……」
デジモン達を見下ろしながら、丈、光子郎、太一が言った。
治の言葉により、ここは日本どころか地球ではないのではないか疑惑が浮上している今、まずは何をすればいいのかすら分からない。
遠出した先で迷子になった時とは訳が違うのだ。
デジモンという未知の生物がいる時点で、ここは自分達の世界ではないことは明白、大人達どころか人間がいることすら怪しくなってきたのに、助けなど期待するだけ無駄なのは、大輔やヒカリでも分かった。
ならば自分達がここにいる手がかりでも見つからないか、丈は再度元の場所に戻ることを提案してみたが……。
「い・や!さっきみたいのにまた襲われるかもしれないのに、冗談じゃないもの!ねえ、パルモン、さっきみたいの、まだいる?」
『いるわよ?』
「ほらぁ!却下よ、却下!」
ミミが喚くが、正論でもある。
デジモン達が進化して強くなってくれたとは言え、先程クワガーモンから逃れられたのは殆どラッキーな状況だ。
聞けば、クワガーモンはあの辺を縄張りにしていて、コロニーのようになっているらしい。
本能の塊であるクワガーモンはその巨体に違わず凶暴で、見かけたらまず逃げろが合言葉だったそうだ。
「うーん、そうか。リスクはなるべく犯したくはないな……」
「そうねぇ……」
そう言った治と空の視線の先にいるのは、最年少の2年生3人組である。
賢は治の傍らでキョトンとお兄ちゃんを見上げているし、大輔とヒカリはそれぞれのパートナーとじゃれ合っていた。
微笑ましい光景に、思わず2人の頬が緩むも、癒されている場合ではない。
庇護の対象である2年生が3人もいる中、凶暴なクワガーモンの巣に突撃するほど子ども達も莫迦ではなかった。
上級生の心は1つである。
「他に何か手がかりはないのかい?」
「……そう言えば、ピヨモン。ここ、ファイル島って言ってたわよね?」
『?うん、そうよ!ここはファイル島!ピヨモン達が育った島!』
自己紹介してもらった時に、まだ
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