ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
[14/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とした攻撃をいい加減鬱陶しく思ってきたシェルモンが、怒りの形相を滲ませながら頭部に生えた触手を伸ばし、太一を絡めとった。
ぬめり気のある触手が身体に纏わりつき、ぎゅうぎゅうと絞めつけてくる。
悲鳴を上げる太一の名を呼んだアグモンだったが、成すすべなくシェルモンに押さえつけられてしまった。
どうしよう、どうしよう、って焦りの色が浮かび始めた子ども達に、トドメの水流を放つ。
ぐったりする子ども達と、デジモン達。
太一を絡めとっている触手は、どんどんキツく締め上げる。
みし、と腕の骨が悲鳴を上げた。
『タイチィ!』
みし、みしみしみし、と骨が絶え間なく軋む。
声を上げる余裕さえ、太一にはなかった。
「お兄ちゃん……!」
倒れたヒカリが最愛の兄の名を呼ぶが、もう太一にはきっと届いていない。
──せっかく会えたのに、やっと出会えたのに、こんな、こんなところで、こんなことで、タイチがいなくなるなんて、絶対に嫌だ!
眩い光りが、アグモンから溢れ出た。
アグモンを抑えつけていたシェルモンの身体がひっくり返り、触手に捕らわれていた太一が吹っ飛ばされる。
太一の視界に映ったのは、鮮やかなオレンジ色だった。
青い筋がコントラストのように彩られ、茶色い兜を被った、オレンジ色の恐竜。
「また、進化した……?グレイモン……?」
大きなシェルモンに負けないぐらい大きな恐竜は、グレイモンと名乗った。
唖然としている太一や他の子ども達を他所に、アグモンだったグレイモンに向かって突進していったシェルモンを、その巨体と腕でがっしりと受け止めた。
太く逞しい脚に力が入り、筋肉が盛り上がって砂浜を抉る。
コロモンからアグモンになった時と同じような高揚感を覚えた太一は、声を張り上げてグレイモンに声援を送った。
形勢は、一気に逆転した。
勝負は一瞬だった。不利を悟ったシェルモンは至近距離で水流を放つも、グレイモンは火炎放射を吐いて水流を押し返す。
炎と水がぶつかり合い、凄まじい量の水蒸気が辺りを覆った。
水流の勢いが弱まったところを狙い、グレイモンは頭部をシェルモンの身体の下に入れると、持ち上げるように投げ飛ばした。
すげぇ、とブイモンを抱えていた大輔は息を飲みながら戦いを見守っている。
空中に打ち上げられたシェルモンに向かって、グレイモンはアグモンのそれとは比べ物にならないほどの巨大な炎の弾を吐き出した。
轟!
直視できないほどの眩しい炎の塊が、シェルモンに向かって真っ直ぐ伸びていく。
シェルモンに直撃したと同時に爆発を起こし、シェルモンは溜まらず地平線の彼方へと吹っ飛んでいった。
ばっしゃーん、と遠くで水飛沫が上がったのが見えた。
「アグモン!」
光に包ま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ