ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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『しもた!シェルモンや!この辺はあいつの縄張りやったんか!』
驚愕する光子郎にテントモンが教えてくれたデジモンの名前は、シェルモンと言うらしい。
巻貝の側面の穴からピンク色の本体がにゅるんと出てきて、咆哮を挙げる。
とにかく逃げよう、と先導しようとした丈に向かって、シェルモンは緑のイソギンチャクのようなものが生えている頭部から水鉄砲を繰り出した。
水の勢いで吹っ飛ばされていく丈を見たゴマモンが慌てて駆けつけようとしたが、同じく水鉄砲によって吹っ飛ばされていく。
『みんな、行くよ!』
子ども達を護るために、アグモンを筆頭にシェルモンに向かって行くが、様子がおかしかった。
アグモンは果敢に炎の弾を吐いて攻めていくのに対し、他のデジモン達は技が不発しているのである。
ガブモンもピヨモンも這い出した炎がぽひゅん、と間抜けな音を出して白い煙が吐き出され、テントモンは電流が足りず、パタモンも吸い込む力が弱まっている。
パルモンの手から蔓は伸びず、ブイモンも何処か疲れているように見えたし、プロットモンの超音波も先程とは比べ物にならなかった。
あれ?あれ?あれ?デジモン達も困惑している。
その隙を逃すシェルモンではなく、頭部から水を噴射させてデジモン達を薙ぎ払ってしまった。
溜まらず吹っ飛ばされるデジモン達に、子ども達は悲鳴を上げながら駆け寄った。
アグモンだけがすぐに起き上がり、再びシェルモンに炎の弾を吐き出す。
頑張れーって太一が応援しているのを見ながら、大輔は倒れ込んでしまったブイモンを抱き起した。
「おい、どうしたんだよ!?」
『……ダイスケェ』
「何!?」
そして紡がれたのは、
『腹減ったぁ……』
情けない声と言葉であった。
はあ?って大輔の目が点になるが、どうやら他のデジモン達も同じ理由らしい。
お腹が空いて力が出ない。何処の頭部があんパンで出来た国民的アニメのヒーローだ。
あれの場合は頭部のあんぱんに異常をきたした場合だけれども。
「アグモン!俺達だけで何とかするぞ!」
『分かった!』
他のデジモン達は戦えないと悟った太一はすぐさま切り替え、何を思ったのかシェルモンに向かって走り出した。
空が太一の名を呼ぶ。
恐らく、空腹で動けないデジモン達に、シェルモンの狙いがいかないようにするためだろうが、それにしても無茶だ。
身体の大きさが違い過ぎて、アグモンが吐き出す炎でもダメージが入っている様子が見られない。
それでも太一とアグモンは、引かなかった。
破壊された電話ボックスの瓦礫から手頃な鉄の棒を手に取った太一は、シェルモンに向かって叩きつける。
莫迦、って治の焦ったような声が飛んだ。
幾ら何でも近づきすぎだ、踏み潰されたらどうする!
案の定、ちまちま
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