ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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の賢が背負っていた鞄を降ろして、お菓子を取り出した。
やったー、ってミミは見るからに喜んでいる。
腹を満たすには心許ないだろうが、ないよりはマシだ。
ミミも肩にかけていたバッグから、無断で持ち出してきた父親のキャンプセットを次々取り出していく。
サマーキャンプと言えど、一通りの道具等は大人達が用意したり、キャンプ場の施設で借りれたりするから必要ないのだが、これから予想されるサバイバル生活において、重要な役割を担うことだろう。
水柱が立ち上がる。
電話をかけ続けていた丈の非常食バッグを目敏く見つけた太一の号令により、今日のお昼は決定した。
元々はミミが管理していなければならなかったのを、届ける途中で異世界に飛ばされたのは不幸中の幸いと言えよう。
丈の言葉によりミミと同じ班だったことが判明した非常食バッグの中身は、1日朝昼晩の3回が3日分の6人用。
6×3×3という簡単な計算式で54食、それを9人の子ども達で分けると2日分。
だがデジモン達も含めれば1日分、つまり今日の分しかないことになる。
賢が持ってきたお菓子があるとは言え、それだって無限ではない。
さてどうしたものか、と悩んでいると、デジモン達は自分達で探すからいいと自らそれを辞退した。
子ども達と会うまで、ずっとそうして生きてきたから必要ない、そう言ったのである。
見るからに喜ぶ丈を尻目に、太一は勝手に非常食の1つを手に取って、アグモンに幾つか食べさせてしまっていた。
丈が慌てて止めるも、別に少しぐらいいいじゃないか、と元来の適当な性格を露呈させる太一に、最早呆れるしかない。
太一とアグモンはそれ2人で半分こしろと、という治の判決によって場が収まり、丈によって非常食が分配される。
それを見届けたデジモン達は、それじゃあ自分達も行こうか、って各自動こうとした時だった。
最初に気づいたのは、海を漂っていたゴマモンだった。
海水の流れの異常に気付いたゴマモンは、身を起こして海原を睨み付けている。
他のデジモン達も、砂浜に響き渡る波に混じって聞こえた微かな音、それからピリつくような敵意や殺気を肌で感じて、本能的に立ち上がった。
その目は、鋭い。
砂浜に水柱が聳え立ったのは、その時である。
驚く子ども達を尻目に、水飛沫がまるで生きているかのように砂浜を走り、電話ボックスを持ち上げえるように吹き飛ばして、破壊してしまった。
打ち上げられた電話ボックスが重力に従って砂浜に落下する。
硝子が砕け散り、鉄骨がひしゃげる。
無残なものとなった電話ボックスの瓦礫の中から、砂浜が突如として山のように盛り上がる。
その盛り上がった山の中から、先端をドリルのように回転させながら大きな大きな巻貝が姿を現した。
「なっ、何だアレ!?」
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