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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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ぐねている様子の大輔達に、遠慮しなくていいんだぞって治が口を開こうとしたら。

「もーう、私疲れた!お腹空いた!何か食べたい!」

それより先にミミが喚いた。空が苦笑しながら宥める。
でもミミが先に言ってくれたお陰で、大輔達もちょっとだけ我儘が言えた。

「俺も腹減ってきたっす……」
「私も……」
「僕も……」
「だよなぁ。お昼まだ食べてなかったもんなぁ」

項垂れているミミと2年生ズを見て、太一が呟いた。
そう言えばキャンプのカレー、まだ作っている途中だった。
口の中がすっかりカレーになっていたのに、急に季節外れの吹雪に見舞われて、みんなで吹雪が止むのを待っていたら、訳の分からない世界に飛ばされたのだ。
理不尽にもほどがある、せめてお昼ご飯を食べてからにしてほしかった。

「じゃあ、各自持っているもの、確認しましょうか。みんな何持ってる?私が持っているのはこの……あら?」

空が腰にかけているポーチに手をかけた時のことである。
ポーチのベルトに触れた際に、何か違和感を覚えた空はそれを手に持った。
それは、オーロラから降ってきた、あの白い機械だった。
いつの間に、って呟く空を見て、他の子ども達もそれぞれの身体をまさぐって、白い機械を手にする。
オーロラから降ってきたそれを手に取った時、子ども達は立ち上がった波に飲まれたのだ。
所謂、総ての元凶である。これのせいで自分達はこんな訳の分からない世界に飛ばされたのだと、半ば八つ当たり気味にその機械を見下ろしていたが、光子郎の腹の虫が鳴る音によって中断された。

『……………』
「……ん?どうした、ブイモン?」

空がポーチから救急用セットやソーイングセットを取り出している。
光子郎は背中に背負っていた細い鞄を降ろし、パソコンやデジカメや携帯電話を取り出して太一に突っ込まれていた。
そんな光景を横目で見ながら、手に持った白い機械をズボンにつっかけようとして、大輔は視線を感じる。
隣に座っていたブイモンが大輔が持っている機械を見下ろしていた視線だった。

『……なー、プロットモン、パタモン』

食い入るように見つめているから、大輔はどうしたのかと尋ねるけれど、ブイモンは答えない。
仕切りに首を傾げ、顎に人差し指を添えて、目を閉じて何かを考え込んでいる。
大輔の両隣に座っていたヒカリと賢の傍らにいるプロットモンとパタモンを呼びかけると、2体も似たような表情をしていた。

『……俺達、なーんか忘れてる……?』
『アタシもそんな気がしてる……』
『ボクも……』

うんうん唸るパートナー達に、大輔達は互いの顔を見合わせた。
眉を顰めて考え込んでいる間にも、お話は進められている。
治も食べ物は持っていないことを申し訳なさそうに告げたが、弟
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