ちいさなしまのおはなし
太陽の咆哮
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はなかった。
男だらけならともかく、ここには女子もいるのだ。
何が悲しくて、隠すものが何もない状態で3人もいる女子の前に、裸で飛び出さなければならないのか。
丈は頑としてゴマモンの意見を聞き入れなかった。
小一時間もすれば、これぐらいならまあ我慢できるかな、ぐらいには乾いたので、治に服を持ってきてもらってさっさと着替え、クワガーモンの猛攻からやっと逃れることができたこともあり、気持ちに余裕が出来た丈はふと思い出した。
「それにしても何だったんだろう、さっきの魚の群れ……」
『あー、あれ?あれはね、マーチングフィッシーズさ!おいら、魚を自由に操ることができるんだー!』
白いアザラシが笑顔で誇らしげにそう言った。
礼を言って、姿が先程と違い名前も違っていることに気づいて、丈が口ごもる。
『オイラ、ゴマモンだよ!』
「ゴマモン?」
白いアザラシ……ゴマモンを筆頭に、姿を変えたデジモン達が次々と自己紹介をする。
アグモンは言った、自分達は“進化した”のだと。
進化ってなぁに、って賢がお兄ちゃんに尋ねる。
うーん、と治は腕を組んで困ったような表情を浮かべた。
「生き物の能力とかが、世代を経る中で変化していくこと、なんだけど、普通は……」
「そうですね。変化していく環境に対応していくために、生き物はより高度なものへと進化していきますが……」
光子郎も眉を顰めている。
彼らの言った通り、進化と言うのは普通は世代を経て変化していくことを指すのである。
つまり“その世代”自体が変化するのではなく、次世代、次に生まれた子どもに起こった変化を進化と言うのだ。
少なくとも、子ども達の世界での進化の概念はそれである。
しかしどうもここでは進化の概念が少し違うらしい。
アグモンによれば太一のお陰で進化が出来たというのだが、子ども達は何のことやらさっぱりだった。
特に何かした覚えがないのである。
アグモン達が進化した時は、確かにクワガーモン相手に小さな身体で戦うなんて無茶だ、とは思った。
それでも戦うと言い張るデジモン達に、必死に祈ったことだけは覚えている。
何を祈ったのか、どんなことを祈ったのかは分からない。
ただクワガーモンから逃れるだけの力が欲しいと、助けようと必死になってくれているデジモン達が怪我をしませんようにと、子ども達の頭の中はそれだけで一杯だったと思う。
よく分かんないなあ、って大輔は上級生達の話から興味を失くして、自分のパートナーであるブイモンを見やる。
チビモンの面影を持ったブイモンは、チビモンだったころは顔周りまで白かったのが、口元だけになっている。
庇護欲をそそっていた可愛らしくて小さかったチビモンが、今や大輔と同じぐらいだ。
両手でブイモンの顔をペタペタと触れば、く
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