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ドリトル先生の野球
第一幕その九

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「驕る平家は久しからずという言葉を思い出すよ」
「日本の諺だよね」
「慢心して偉そうにしているとすぐに落ち目になる」
「そういうことだね」
「実際に平家が驕っていたかはともかく」
 このことは置いておいてというのです。
「平家が栄華から没落したのは事実だね」
「平家物語ね」
 ポリネシアが言ってきました。
「それは」
「日本の古典だね」
「そうよね」
 チープサイドの家族もお話します。
「このお話は」
「そうだったね」
「平家が栄華から滅亡に至って」
 トートーは悲しそうに言いました。
「そして源義経さんもね」
「木曽義仲さんもそうで」
 ダブダブもこの人の名前を出します。
「栄華を極めても」
「結局は皆落ちていって」
 ガブガブの言葉は悲しい響きがあるものでした。
「去っていく」
「仏教の思想があるんだよね」
「そう言われてるね」
 オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「先生もそう言ってたね」
「この前読んでいて」
「その思想は」
 チーチーの表情も神妙なものです。
「深いよね」
「深くて悲しくて」
 ジップの言葉も神妙なものです。
「考えさせられるお話だね」
「悲しく死ぬまでの人いたかな」
 ホワイティはこのことから思うのでした。
「平家の人達も義仲さんも義経さんも」
「僕もあまり思わないよ」
 平家物語の人達が悲しい結末を迎えていくことはというのです。
「確かに平家の人達や義仲さんはどうかっていう部分も多いけれどね」
「それでもだよね」
「果たしてあんな目に遭うだけの人達か」
「敗れ去って悲しく死んでいく」
「そうした人達か」
「義経さんがああなったことは政治によるものでもね」
 鎌倉幕府のそれでというのです。
「それでもね」
「悲しい結末はね」
「やっぱりどうなってなるわね」
「先生にしても」
「僕は本当に頼朝さんが好きになれないから」
 平家物語の中だけではありません、先生は日本史を学んでいてもこの人をどうしても隙になれないのです。
「だからね」
「それでだよね」
「あの人については」
「好きじゃなくて」
「あの人と戦った人達についても」
「それが平家の人達で義仲さんで義経さんだからね」
 平家物語で悲しい結末を迎える人達だというのです。
「余計に思うよ」
「そうだよね」
「驕る平家と言っても」
 それでもというのです。
「幾ら何でもね」
「悲し過ぎて」
「同情するよね」
「どうしても」
「僕もね」
 こう皆にも言います。ですが。
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