四十 柔拳VS蛙組み手
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姿が変化してしまう危険を伴う。仙術を用いるには長い修行が必要不可欠だが、そのような時間はない。ならばどうするか。
そこでフカサクが目につけたのは、ナルのチャクラ性質である。風は自然エネルギーの一部。忍術・幻術・体術を強化させる事は無理でも、ほんの僅かな風を支配する事は可能だろう。風の性質を持つ者が自身の周りにある風をチャクラで動かし、相手の攻撃をずらす。そのズレはほんの僅かだが、点穴という一点のみを正確に突かねばならぬ柔拳には効果的だ。少しのズレが勝敗を決し、また柔拳の使い手にも心理的ダメージを与えられる。
眼が正確な位置を捉えていても、点穴の正確な点を掴めない。知らぬ間に風で動きをズラされた事に気づかず、動揺し、己の眼に疑いを抱く。つまり絶対的な白眼への自信故、見えない攻撃に戸惑ってしまう。それこそが盲点を突かれているとも知らずに。
仙術チャクラこそ使っていないものの、己の周囲にある自然エネルギーの一部『風』を利用する。言わば【蛙組み手】の劣化版なのだ。
再度【八卦・六十四掌】を放つ。先ほど同様白眼で点穴を見極め、正確な位置を突く。だが身体に手刀を打つ寸前、周囲の風に邪魔され、またしてもネジの突きはナルに届かなかった。
二度目の失敗に、今度こそネジは確固たる動揺を胸に抱く。距離をとり相手から離れたネジは益々瞳を凝らした。
眼に捉えられないモノの正体が判然としない。表面上冷静を装っていてもネジの心は穏やかではなかった。焦燥が募るばかりの彼の耳に、ナルの静かな、だが尖った声が届く。
「――なんでお前は予選の時…あんなに頑張ってるヒナタを精神的に追い込むような事したんだってばよッ!?」
同じ一族なんだろ。親戚なんだろ。家族、なんだろ…!?
徐々に大きくなる声。立て続けに浴びせるナルの怒声を聞くに堪えんと、ネジは「お前には関係のない話だ」と一蹴する。言葉を遮ったネジにナルは再び声を張り上げた。
「ヒナタを馬鹿にして落ちこぼれだと勝手に決め付けて…。宗家だが分家だが何があったか…そんなの知らねえけどな、」
そこで一息つく。大きく息を吸い込んでナルは強くネジを睨みつけた。
「人を落ちこぼれ呼ばわりする奴は、オレが絶対許さねえ…ッ!!」
思い出す。
予選試合で何度も何度も諦めず立ち上がったヒナタの姿を。ボロボロになりながらも必死で闘った、親友を。
彼女を落ちこぼれだと罵った目の前のネジが許せない。あれだけ努力して頑張って宗家である自分の立場に苦しんで。認められない自分を必死に変えようとして。それでも諦めなかったヒナタを身体的にも精神的にも追い詰めた、日向ネジにナルは必ず勝つと心に誓った。
「――――わかった。いいだろう。そこまで言うなら教えてやる…」
ナルの本気に、ネジもま
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