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渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十 柔拳VS蛙組み手
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んの周囲にあるものは何じゃ?」

暫し瞳を瞬かせたナルがはっと顔を上げる。フカサクが口元に不敵な笑みを浮かべた。
同時に言い放つ。

「「風」」

修行場たる荒野に、目に見えぬ風が一陣吹き抜けた。














煙が晴れる。

対戦場に纏わりつく灰色の霞。煙幕で包み隠されていた人影がその全貌を露にした。
審判である不知火ゲンマ、そして対戦者たる少年少女。目に飛び込んできた勝負の行く末に観客は身を乗り出す。
しかしながら何の変哲もない様子に、彼らは皆同じ顔をした。浮かべたのは隠し切れない、落胆の色。


唯一何が起こったのか気づいたテマリが愉快げに口元をほころばせた。突然微笑んだ彼女を、カンクロウと我愛羅が怪訝そうに見遣る。
堪り兼ね「どうしたんじゃん?」と訊くカンクロウにテマリは簡潔に答えた。
「あの子とは話が合いそうだよ」
くつくつと笑う。風使いたる姉の隣で弟達は不思議そうに首を傾げた。彼女の目線を追い、眼下の試合へ視線を投げる。
そこでは攻撃したネジが動揺し、攻撃を受けたナルが平然としているという不可思議な光景が広がっていた。


【八卦・六十四掌】を繰り出し終え、対戦相手から距離をとる。とうに間合いから脱していた彼は、信じられんとばかりに目を大きく見開いていた。
「…なぜ、動ける…?」
完全に掻き消えた煙幕。対戦相手の全身が己の白き眼に映り込む。今まで自身の眼に比類無き自信と誇りを抱いていたネジは、この時初めて己の目を疑った。
「点穴を突いたはずだ…っ」
視線の先に認めた人物をネジはじっと視た。あり得ない光景が常日頃冷静である心に焦りを植え付ける。ピキキ…と発動した白眼までもが、目の前の現実を認めようとしない。

確実に点穴を突いた。それは間違いない事実だと言い張れる。しかしながらチャクラを扱えぬだろうナルの全身には、チャクラが何事も無く網羅していた。


「なぜ平気なんだ…ッ!?」
対戦場、いや会場中の空気が凍りついたかのような息苦しさを覚え、ネジは問うた。搾り出した声はどこか上擦っている。何の変哲もない対戦相手の様子にネジは戸惑いを隠せなかった。
逆に、日頃騒がしいナルが落ち着きはらって答えた。
「言ったろ…?」
悠然と佇む。物言わぬ風ですら、今は彼女の味方だった。

「ぜってー勝つ!!」

今一度宣言したナルが不敵な笑みを浮かべた。それは自信たっぷりの大胆不敵な笑顔であった。




自然エネルギーを取り込むと忍術・体術・幻術が大幅に強化する。この自然エネルギーに身体エネルギー・精神エネルギーが三位一体化したチャクラを『仙術チャクラ』と呼ぶ。
この三つのチャクラバランスは非常に困難であり、一歩間違えれば石像もしくは容
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