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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
そして彼らは巡り会う
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のすぐ隣には、自分をずっと追いかけてきた生き物と同じような、見たことのない生き物達。
既に色んなことが起こって、もう次に何が来ても全く驚かなくなっていた太一達は、少し感覚が麻痺していた。
と言うより、ぎゃあぎゃあと騒いでいる丈を見て、逆に冷静になれたとも言える。
ホラー映画などで、自分よりも派手に怖がっている者を見ると平静さを取り戻す原理と一緒である。
姿かたちも様々な生き物を目にし、驚愕している丈と冷静さを取り戻しつつあった子ども達に向かって、彼らはこう言った。

《ぼくたち、デジタルモンスター!》



とりあえず自己紹介をそれぞれしないか、と唖然としている子ども達を我に返らせてくれた空の提案に乗ることにして、まずはデジタルモンスターと名乗った生き物達がそれぞれ名前を告げてくれる。

丸くて頭にひらひらした触覚がある、赤い目をしたコロモン。
頭に角が生えた、ふわふわした毛に覆われている恥ずかしがり屋のツノモン。
花が咲いたタコのような姿をしたピョコモン。
関西人が聞いたら間違いなく卒倒するような、変な関西弁を喋るモチモン。
アザラシの子どものようなプカモン。
豚の貯金箱と見紛うトコモン。
仔猫をぎゅっと凝縮したようなニャロモン。
そして青くてへにょりとした角が2本あるチビモン。

みんな姿かたちが様々で、何の共通点もないけれど、総称してデジタルモンスターと言うらしい。

「僕は、よくできたテーマパークか何かかと……」
「だとしたらキャンプ場にいた僕らをどうやって運んだんだよ、って話になるぞ」
「それもそうですね」

自己紹介の続きをする。
お台場小学校の5年生、太一と空と治、6年生の丈、4年生の光子郎は、大輔も知っている。
5年生の3人と4年生はサッカークラブの先輩だし、6年生の丈はお姉ちゃんと同じ学年、同じクラスだ。
ヒカリもまた然り、なので特出して言うことは特にないだろう。
でも1人だけ知らない子がいる。
あんな子、学校にいたっけ?って大輔とヒカリは首を傾げた。
クラスメートの名前を覚えるのが精いっぱいで、他のクラスの子は顔だけ知っている、という状況ではあるが、それでも黒髪の小さな男の子を見かけた覚えはない。
1年生の子か、それともああ見えて3年生なのかな?って思いながら、太一が紹介してくれるのを待った。

「えーっと、確か、ケン、だっけ?治の弟の」
「うん!僕、賢!御手洗賢!小学校2年生だよ!」
「あー、この子が?初めまして、賢くん。私は空よ」
「初めまして、光子郎です」

太一と空、光子郎は知っていたようで、賢と名乗った男の子に挨拶をする。
でも大輔もヒカリもやっぱり見かけたことがないから、思い切って聞いてみることにした。

「ねえ、お兄ちゃん。あの子、治さん
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