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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
そして彼らは巡り会う
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とになったが、一緒にいるヒカリちゃんが懇切丁寧に教えてくれたお陰で、たった1年で日常会話には困らないほどの日本語力を取得することができた。
が、やはり小さい頃に取得した言語というのは、なかなか忘れないもので、今でも大輔はお姉ちゃんと会話をするときや興奮する時には英語が飛び出してくる。
相当ご立腹のようで、次から次へと飛び出してくる知らない言語に、青い陰は目を白黒させながら大輔を見上げていた。

「だっ、大輔くん、落ち着いて!」

流石に青いのが可哀想になってきたヒカリは、仔猫を腕に抱いて大輔の下に駆け寄る。
と言うかヒカリも、若干英語で捲し立てている大輔が怖かった。
ヒカリに話しかけられて、ハッと我に返った大輔は、肩で息をしていた。
落ち着いた?ってヒカリが困ったような表情を浮かべているのを見て、大輔はバツが悪そうに目を逸らして、青いのを見下ろした。
ぱっちりとした赤い目が、印象的なちびっこいのだった。

「ご、ごめんな……?」

流石に悪いと思ったのか、大輔はきょとりと見上げている青いのに謝罪する。
知っている言語を口にしたためか、青いのはぱあっと笑った。

『ううん!へいき!でもびっくりしたよ、ダイシュケ!いまの、なんだったの?』
「え?今のは英語っつって……ってぇ、そうじゃねぇ!誰だお前!」

良かった、そのまま話を続けようとしていたから、どうしようかと思った、とヒカリは安堵した。
大輔が落ち着いてくれたので、ヒカリはようやく腕に抱いた仔猫をゆっくりと観察することが出来る。
座り込んでいる大輔の隣に腰かけて、ヒカリは先程思い浮かんだ疑問を、仔猫にぶつけた。

「ねぇ、貴女はだぁれ?どうして私の名前を知っているの?」
『アタシ?アタシはニャロモン!ヒカリのこと、ずっと待ってたの!』

ニコニコと、答えになっていない答えを仔猫──ニャロモンは返した。
ヒカリとニャロモンの会話を隣で聞いていた大輔も、抱えていた青くてちっこいのに目を向ける。

「お前もニャロモンっていうの?」
『ちっがうよー!オレはチビモン!すがたもかたちも、ぜんぜんちがうだろー。ダイシュケはダイシュケでヒカリはヒカリなのとおんなし!』
「uh, I see」

あいし?って思わず呟いた大輔の言葉を、首を傾げながら繰り返した青くてちっこいの……チビモンが何だか愛おしく思えて、大輔の胸がキュンとなる。
これが庇護欲なのだが、大輔はそんなこと知る由もない。
ただ衝動に任せて、ぎゅーっと抱きしめた。
きゃー!ってチビモンは嬉しそうな声を上げた。
そんな2人を微笑ましく眺めていたヒカリだったが、は、と我に返る。
そうだ、こんなことしている場合ではなかった。

「ね、ねぇニャロモン。お兄ちゃん知らない?」
『オニイチャ
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