ちいさなしまのおはなし
そして彼らは巡り会う
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てあわあわしていた時だった。
がさり
近くの茂みで、葉が擦れ合う音がした。
ひっ、と喉の奥から引き攣る悲鳴が漏れる。
繋がる2人の手は更に力が込められ、ほぼ同じタイミングと速度で、音がした方に顔を向けた。
恐る恐る、ゆっくりと背後の茂みに目を向けると、ガサガサ、ガサガサ、と葉が擦れ合う音がどんどん大きくなっていった。
こちらに近付いているのだ、と気づいた時にはもう遅かった。
がさがさ……ぴょーん!
「うわあああああああ!」
「きゃあああああああああっ」
茂みから勢いよくジャンプして飛び込んできた、2つの陰。
ビックリした大輔は、咄嗟にヒカリを庇うような姿勢をとり、ヒカリも大輔の後ろに隠れるようにしがみ付く。
べちょ、と大輔の顔に何か張り付いて、視界が真っ黒に染まった。
「うわ、わ、わ、わとぉっ!?」
「だっ、大輔くん!」
飛びつかれた勢いを殺せず、伸しかかってきた何かに圧される形で、大輔はひっくり返った。
ヒカリが巻き添えにならぬように咄嗟に手を離したのは、流石である。
ひっくり返ってごちーんと頭を打った大輔に、ヒカリは慌てて駆け寄ろうとしたが、それより先に何かがヒカリの視界を遮るように落ちてきた。
反射的にそれを受け止めると、そこにいたのは。
「……ね、こ?」
丸っこいフォルムの天辺には、取って付けたような三角の耳、それから縞々模様の尻尾。赤く、くりくりとした目が、ヒカリをじっと見上げる。
『……ヒカリ?ヒカリだよね?』
「え……どうして私の名前……」
「っ、ぷはぁっ!!」
仔猫のような生き物が、嬉しそうにヒカリの名を呼ぶことに唖然としていたが、ため込んでいた息を吐きだしたような大輔の声で、ハッとそちらの方に目を向けた。
ひっくり返っていた大輔は、顔に張り付いていた青い陰を取ろうと格闘していて、ようやく剥がしたところだったようだ。
両脚と腹筋を使って上半身を起き上がらせた大輔は、引き剥がした青い陰を見るなり、早口で捲し立てた。
「○△×□◎☆▽;〜!?」
が、全く聞き取れない。それはそうだ、何せ大輔が使っているのは英語である。
正確には米語、つまりアメリカンイングリッシュで、ブリティッシュイングリッシュではないのだが、それは今は置いておこう。
大輔は帰国子女で、小学校に上がる前までアメリカに住んでいた。
と言うかアメリカで生まれたので、日本とアメリカの国籍を2つ持っている。
日本では二重国籍を法律として認められていないので、大人になったらどちらの国籍を取るかの選択をしなければならない。
それは置いておいて、アメリカで生まれた大輔は、小さい頃からお家でもお外でも英語漬けで、日本語なんか全く知らなかった。
こっちに帰ってきてから少々苦労するこ
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