ちいさなしまのおはなし
そして彼らは巡り会う
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ため、もう逃げ道がない。
残っているのは崖の先だけ。子ども達はパートナーを連れて、太一の下へと走る。
もう、逃げ場がない。
ゆっくりと立ち上がったクワガーモンは、その重い巨体を支える両肢で大地を踏みしめながら立ちはだかった。
ゆっくり、ゆっくりと。
クワガーモンは恐怖に怯える子ども達の下へと近づいてくる。
獲物を追いつめ、甚振る捕食者のように。
パートナーを抱きしめる子ども達の腕に力が入った時だった。
『……いかなきゃ』
ぽつりと、落とすように呟いたのは、コロモンだった。
え、と太一は腕に抱いたコロモンを見下ろす。
聞き違いか、と思ったがコロモンは衝撃的な言葉を続けた。
『ぼくたちが……たたかわなきゃ、いけないんだ……!』
「な、何言ってるんだよ!?」
こんな小さな身体で、あんな巨体に挑もうというのか。
先程吹っ飛ばされたばかりだと言うのに。
『そうや……わいらは、そのためにまっとったんや……!』
「そんな……!」
光子郎の庇護から逃れようと、モチモンがもがいている。
『いくわ!』
「そんな、無茶よ!あなた達が束になっても、あいつに敵うはずないわ!」
可愛らしい姿とは裏腹に、ピョコモンも空を護ろうとクワガーモンを睨み付けた。
空はそんなピョコモンを咎めることしか出来ない。
『でもいかなきゃ!』
『ボクもぉ!!』
『おいらもぉ!』
ツノモン、トコモン、プカモンが飛び出そうとするのを、治と賢と丈が止めている。
そんな彼らを見て、ミミは不安そうに腕に抱いたタネモンを見下ろした。
「タネモン……貴女も?」
タネモンが頷くと、ミミは傷ついたような表情を見せる。
「……ニャロモン……」
『ヒカリ、おねがい、はなして。アタシはあなたをまもらなきゃいけないの!』
真剣な顔でお願いをしてくるニャロモンに、それでもヒカリは決心がつかずにその手を離すことができない。
みんなそれぞれのパートナーにやめろと進言して、それでもデジモン達は行くと言い張っている。
「……チビモンも?」
『うん……!』
何処か打ちつけたのか、痛みを堪えているような表情を浮かべながらも、チビモンの視線はクワガーモンに向けられている。
どうしよう、どうしたらいいのだろう。
今の自分達に戦う力はない。でもだからって、こんな小さな生き物達を戦わせるなんてことも出来ない。
どうすれば、どうすれば……。
子ども達は必死で小さな生き物達を抑え込むが、デジモン達はそんな子ども達の願いも虚しく、その腕を飛び出して行ってしまった。
小さな身体を一生懸命跳ねさせながら、大きな大きなクワガーモンに向かって行くデジモン達。
待って、という言葉ももう届かない。
それぞれのパートナ
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