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玄関で待っていて
第三章

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 チビが見付かった次の日今日子は八重子を自分の部屋に呼んでそこで八重子に一緒に晩ご飯を食べながら話した。メニューは二人が適当に食材を買って作った寄せ鍋である。
 その寄せ鍋を食べてお酒を飲みつつだ、今日子は話した。
「まさね」
「チビが玄関で待っているなんて?」
「思わなかったわ」
 こう言うのだった。
「ずっと探していなかったのに」
「猫は家についてね」
「それでよね」
「帰巣本能があるっていうから」
 それでとだ、八重子は鍋の中のソーセージを食べつつ話した。
「だからね」
「戻ってきてくれたの」
「そうじゃないかしら」
 こう今日子に話した。
「私が思うに」
「そうかしら」
「ええ。暫く何処にいたかはわからないけれど」
「かなり汚れていたわ」
 それで部屋に入れてすぐに洗いもした。
「本当にね」
「そうよね」
「ええ、色々な場所巡ってたのかしら」
「そうかも知れないわね」
「けれどちゃんと戻って来てくれて」
 今日子は白菜と菊菜を自分の碗に入れつつ話した。
「それでね」
「本当によかったわね」
「そう思うわ、もうね」
「二度とよね」
「戸締りは忘れない様にするわ」
 チビがまた逃げださない様にというのだ。
「そうするわ」
「そこは気をつけてね、折角戻ってきてくれたんだから」
「もう二度とこんなことがない様にね」
「そうしてね、しかし」
 ここでだ、八重子は。
 そのチビ、今は二人が食べている傍にあるクッションの上で丸くなっている彼を見てそのうえで話した。
「実物見たら画像よりもね」
「可愛いでしょ」
「ええ、今日子が夢中になる理由もわかるわ」
「本当にうちに来てくれてよかったわ」
「元々野良だったのよね」
「近くの公園にいたの」 
 そこで拾ったというのだ。
「それで今はね」
「こうして一緒に暮らしてるのね」
「そうよ、それでこれからもね」
「一緒にいるのね」
「もう二度と戸締りをおろそかにしないでね」
 今日子はチビを笑顔で見つつ八重子に話した、チビは今は丸くなっているだけだが今日子はその彼を見て笑顔になっていた。


玄関で待っていて   完


                  2020・7・21
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