第三章
[8]前話
剛は両親もチハルも陽子を気に入ってくれて心から喜んだ、そうして卒業論文を書いて卒業してだった。
就職し仕事が落ち着いた時にやはり就職してそのうえで交際を続けていた陽子に仕事が終わったレストランで指輪を出してプロポーズして。
笑顔で頷いてもらって剛はこれ以上はないまでに幸せな気持ちで家に帰った、そうして家で出迎えのチハルに言った。
「チハル、俺結婚決まったぞ」
「ニャア」
チハルはその彼に明るい声で応えた、そしてだった。
両親にその話をする彼の傍にこの日はずっといた、そうしてだった。
陽子が家に入るとだ、陽子にも懐き。
いつも一緒にいた、剛はチハルを見ながら陽子に話した。
「チハルは俺のお姉さんだな」
「猫は人より年取るの早いから」
「だからな、生まれたのは俺が先だけれど」
それでもというのだ。
「やっぱりな」
「もう歳はね」
「チハルの方が上だからな」
それでというのだ。
「チハルは俺のお姉さんだよ」
「そうよね」
「元々親は女の子生まれたらその名前にしようって思ってたんだよ」
チハルにというのだ。
「それで家に来た時にその名前にしたし」
「剛のお姉さんなのね」
「だから俺達に子供が生まれたら」
その時はというと。
「チハルの甥か姪になるな」
「そうね」
「チハル、お前の甥や姪も宜しくな」
剛は今はご飯を食べているチハルに声をかけた。
「大事にしてくれよ」
「ニャア」
チハルはご飯を食べることを中断して剛と陽子に明るい声と笑顔で応えた、そして実際にだった。
二人の間に生まれた息子の傍にずっと寄り添っていた、二人も剛の両親もそんなチハルを見て喜んだ。優しい叔母になった彼女を見て。
猫が認めた人 完
2020・7・20
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