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猫が認めた人
第二章

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 陽子を家に案内する道で彼はチハルのことを何処となく話した。
「いい娘だけれど家族以外にはな」
「懐かないの?」
「そうなんだよ」
 これまでの彼女に唸ったことをこう話した。
「だから若しかしたら」
「私にもなのね」
「そうなっても気を悪くしないでくれよ」
「ええ、そのことはね」
 陽子は剛に微笑んで応えた。
「今聞いたし」
「それじゃあな」
「わかってね」 
 そしてというのだ。
「剛のご家族に挨拶させてもらうわね」
「そういうことでな」
「今からね」
 陽子は優しい笑顔で応えた、だが剛は内心陽子とも自然消滅で長続きしないのかと考えていた。そう考えつつ彼女を家に迎えたが。
 玄関でチハルがちょこんと座って待っていた、このことはいつも通りだったが剛はチハルが陽子にも唸るかと思って覚悟した、だが。
「ニャア」
「えっ!?」
 剛は驚いた、何とだ。
 チハルが普通の態度だったのだ、しかもだ。
 陽子がお邪魔しますと言って家にあがるとだった。
 その足に擦り寄ってきた、それで剛は驚いて言った。
「こんなことはじめてだよ」
「そうなの?」
「チハルが家族以外に懐くなんて」
 彼女のことをここでもこう言った。
「本当に」
「そうだったの」
「うん、それがだから」
「剛も驚いてるのね」
「そうなんだよ」
 実際にというのだ。
「これが」
「そうなのね」
「いや、これは凄いよ」
 驚いたままこうも言った。
「本当に」
「可愛い娘よね」
「ああ、陽子も好きみたいだし」
「私元々猫好きだし」
「よかったよ」
 剛は微笑んで応えた、そうしてだった。
 陽子は剛の両親とも会ったがお互いに非常にいい印象を持った、それで眼鏡をかけた太った父若い時は痩せていたが今はそうなっている彼も剛に言った。
「いい娘だな」
「そうだろ」
 息子も笑顔で応えた。
「陽子は」
「お前がこれまで連れて来た娘で一番かもな」
「そう言ってくれるんだな」
「ああ、それでお前もう就職決まってるな」
「八条自動車にな」
「だったら落ち着いたらな」
 卒業して仕事にも慣れたらというのだ。
「陽子さんとか」
「結婚しようってな」
「考えているんだな」
「俺からプロポーズしてな」
 そのうえでというのだ。
「陽子もそのつもりみたいだし」
「いいわね、チハルも懐いてるし」
 母も言ってきた、チハルを膝の上に置いたうえで。
「それじゃあね」
「ああ、一緒にいてもな」
「いいと思うわ」
 こう息子に話した。
「だからね」
「卒業して仕事が落ち着いたら」
「そうしなさいね」
「そうするな」
 その話が前提で陽子を家に連れて来た、それでだった。
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