暁 〜小説投稿サイト〜
おっちょこちょいのかよちゃん
61 石松の願い
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話

「それだけではない。あの男は能力(ちから)を持つ者でも稀有な存在だ。なんと見聞、武装、威圧、三種類の能力を全て宿しているのだ」
「ええ!?そうなの?」
「いかにも」
 かよ子は母が杖を所有する事になった話を聞いた時、三河口も人とは違う能力を持っているが、強力すぎるという事を話していた事を思い出した。その三つの能力を持っているからこそ、彼は自分の能力が強すぎると言っていたのだとかよ子は改めて理解した。
「でも、あのお兄ちゃんが武器を持たないのはなんで?」
 かよ子はさらに石松に質問する。
「それはだな、あの者が自覚する通り、能力の影響力が他の者と比べて大きい。今は武器に頼らずとも能力のみでいけるという事である」
「そうなんだ・・・」
「もう某の話を語っていると日も暮れてしまっておるな。お主らの親も心配しているからそれぞれの屋敷へ帰るとよい」
「うん、じゃあねえ!」
「おう、またな!」
 皆はそれぞれ帰宅していく。かよ子は思う。
(あのお兄ちゃんが凄い能力(ちから)を持っているなんて・・・)
 かよ子は三河口がこの清水に来た理由や経緯などをいずれは知りたいと思った。

 かよ子は帰宅すると明日からの学校の準備をする。そしてテレビを見ながら夕食を食べ、そして風呂に入り就寝とするいつもの生活だった。だが、それでも己の使命を忘れたわけではない。日本赤軍や戦争を正義とする世界の人間によって壊された元の日常を完全に取り戻すにはその人間達を倒さなくてはならない。そしておっちょこちょいも治したい。かよ子の誓いは固かった。

 森の石松は秘密基地のある高台より清水の街を見渡す。
(親分、フローレンス、イマヌエル・・・。某が選んだあの子達ならきっと役に立ってくれます・・・。そしてこの世や我々の世界の平安を維持する原動力になるでしょう・・・)
 石松は平和を司る異世界の同志たちの事にそう誓う。自身が嘗てこの世の人間だった頃の事、討ちに遭い帰り着く事ができず、別世界の人間となってようやく戻ってこれた清水。戦争の悲劇を乗り越えて漁港の場として再び栄えたこの地を日本赤軍や戦争を正義とする世界の者に支配され、滅ぼされてたまるかという気持ちを持ちながら石松は何処(いずこ)かへと去るのであった。

 翌日、またかよ子は学校へ足を運ぶ。そして学校でまる子やたまえ、とし子といった友人と出会う。好きな男子・杉山とその親友・大野と出会う。秀才少年・長山と出会う。
 そしてまた、時は進んでいく。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ