はじまりのおはなし
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店をはしごすることになった。
骨董市にはヨーロッパのアンティークだけでなく、色んな国からここアメリカに渡ってきたものも沢山ある。
ハンガリーから来た陶磁器や、アフリカの方から渡ってきた神様の彫刻、古代中国で皇帝が使っていたと言われている金のコップなど、興味を引かれるものは沢山あるが、どれも彼のゴーグルのような普段使いできるものではないので、却下。
なかなかいいものが見つからない、と1度骨董市から抜けることになった。
時間を見ればお昼丁度。目に着いたイタリアンの店に入って、お母さんはペペロンチーノ、お父さんはボロネーゼを、お姉ちゃんと彼でピザ1人前を半分こすることになった。
料理が出てくるまでの間、彼は買ってもらったばかりの、首から下げているゴーグルを手に取って、ずっと眺めている。
よほど嬉しかったんだなぁって、お母さんもお父さんもニコニコしているし、お姉ちゃんもよかったねって彼の頭を撫でてやる。
運ばれてきた料理を平らげた一行は、また骨董市に入って散策を開始した。
お姉ちゃんにも何か買ってあげるって約束してくれたから、何かいいものないかなって色んなお店をお母さんとお姉ちゃんが中心になって巡っている。
その後を、彼を抱っこしたお父さんがついていく。
まだかなぁ、って彼がちょっと退屈し始めた頃に、お姉ちゃんがあるお店の前で止まった。
商品が見やすいように、コルクボードに貼りつけられた画鋲に、商品を飾りつけられていた。
指輪やネックレス、ブレスレット。女の子が好きそうなデザインではなかったものの、何となく気になったお姉ちゃんはふらふら〜っと吸い寄せられるようにそのお店に近付いていく。
別のお店を覗いていたお母さんが気づいてお姉ちゃんの後を追う。
少し遅れて彼とお父さんも歩いてくる。
ブルネットの髪をひっ詰めた、素朴な白人女性が、テントの奥で商品を整理しているのが見えた。
こういうアンティークなら普段使いできそうだ、とお姉ちゃんはコルクボードに飾られている商品を眺めて……ふと気になるものが目に映った。
枝にとまっている2羽の小鳥が施された丸い金色の蓋。
気が付くと手に取って、その蓋を開けていた。
中から現れたのは、時を刻む長短の針。
ながーい金色の鎖には、つっかけのようなものがあった。
それは、いわゆる懐中時計というものだった。大きさはお姉ちゃんの掌ぐらいはあった。
さっきの彼みたいに、それを手に持ってじーっと見ていたら、奥で作業をしていたお店のお姉さんが気づいて声をかけてくれた。
だから隣に立って見守っていたお母さんに、これがいいってお願いした。
金ぴかで、可愛い小鳥の精巧な細工が施されている、子供が持つにはちょっと不釣り合いな懐中時計。
でもお母さんもお父さんもそんなものに合わない、とかまだ早い、とか言って止
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