第15話 会談〜そして謁見〜
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た。
(来たか!ショッカーの支配者が!どのような人物なのだ?)
ドン!!!!
突如としてドス黒い漆黒のオーラが室内を包み込み、ピニャとボーゼスはそれに飲み込まれそうになる。思わずたじろいでしまった。親衛隊員達が放っていた殺気とではミジンコと富士山くらい明確かつ圧倒的な差があった。
ピニャ達はすぐに下を向き、まるでお辞儀のような体勢をとった。とてもじゃないがこのオーラを放つ張本人を直視することなどできなかった。
例えるならば"抗うことの出来ない絶対的な恐怖"。まるで心臓を絶対零度の手で握りつぶされているのではないかと思うぐらいに身体が硬直してしまった。
あまりの恐ろしさにここが外交の場でなければ恥も何もかもかなぐり捨てて裸足で逃げ出すほどだ。
コツ、コツ―。
大首領の足音が室内に響き渡り、ピニャの数メートル前の玉座でピタリと止まった。
「「「「イッー!!!!」」」」
死神博士や親衛隊員らがショッカー式敬礼をして忠誠を示すがピニャ達は背筋を凍らせて下を向いたままだった。
「面をあげよ」
大首領が低い声でそう言うとピニャとボーゼスはビクリと肩を跳ね、恐る恐る顔を上げた。
そこには依然、強大な漆黒のオーラを放ち続けるショッカー世界の支配者の姿があった。
立て襟付の赤いマントに同色の三角巾というそのミステリアスな出で立ちは帝国の皇帝が纏うようなきらびやかな衣装とは大きく異なっていたが首領の放つ"覇気"も相まって恐怖心を何倍にも煽り立てた。
大首領は三角頭巾で素顔を隠してはいるがジッとピニャ達を見つめているのが視線を胸元に移していても分かった。
ピニャとボーゼスの身体は小刻みにカタカタと震え、決して言葉にはできないが失禁する一歩手前まで来ていた。
「さて……ピニャ殿下よ、遠路はるばる大義であった」
一番最初にかけられた言葉が労いの言葉だったことにピニャは拍子抜けした。大首領は意外と優しい性格なのではと思い、恐怖に怯えながら小さな希望を抱いてしまった。しかし、それもすぐに現実に引き戻された。
「……だがな、私にはどうしようも許せないことがあるのだ」
「ぇ?」
「帝国は"私"の世界に土足で踏み込み、ショッカーの貴重な"人的資源"を奪っていった。低文明の異世界人の分際でありながらこれがどれほど身の程知らずなことか分かるか?」
ピニャは答えられなかった。大首領の声は明らかに怒気を孕んでいたからだ。
ここで何か言えばこの場で無惨に殺されてしまうのではないかとすら思った。そして―、ツゥッとピニャの頬を冷たい液体が伝う。恐怖のあまり、涙が出ていたのだ。
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