第15話 会談〜そして謁見〜
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には人道意識の欠片もない。
ピニャは帝国がショッカーの兵士を一人でも捕らえることができたという情報を聞いたことがなかった為、ショッカーの外交官が捕虜の話を切り出したのは身代金を要求するためだと思ったのだ。
「現在の収容者は約7千人です」
(7千人だと!!そんなにいるのか!?身代金が幾らになるか想像もつかない!)
「身代金はいくらですか?」
ピニャは震える声で尋ねた。
それに対して外交官は意外という顔で答えた。
「いえいえ、我々は身代金など要求したりしませんよ。この世界にはそういった習慣はありませんから」
外交官は続けた。
「彼らの待遇に関してですが…比較的、人道的に扱ってるので安心してください……反抗的な者を除いてですが」
するとさっきまでの反応が嘘のようにピニャは急に立ち上がって叫ぶように言った。
「数人だけでも返還してもらえますか?門に出征した兵士に貴族の子息が多いのです」
これには外交官も驚いたのか表情が強張った。
ピニャからすればこの提案は有力貴族の子息の返還を優先して行うことで彼らに恩を売ることができ、それによって講話交渉もスムーズに進む。そう考えてピニャは提案したのだった。
しかし、ショッカー側の返答はピニャの予想を裏切るものだった。
「この場では決断することができないので上層部に仰ぐ必要がありますが……現状での返還はおそらく無理でしょうね」
「え?」
狼狽するピニャを他所に外交官はさらに衝撃的な言葉を告げた。
「さらに…このままの状況が続けば我々は彼らを処刑しなければなりません」
「「な、なぜですか!?」」
ピニャとボーゼスは外交官の口から『捕虜の処刑』というとんでもない言葉が出てきたことに驚いた。
「当たり前です。帝国との間に捕虜に関する取り決めがないですから。そもそも国交すら結んでませんしね。それに彼らは我々、ショッカーに反抗的な思想を持つ『不穏分子』です。国内法に基づいて処刑するのは当然だと思いますが?」
ショッカーに世界が征服されてから既に100年。旧クライシス帝国や旧ドグマ王国などのごく稀な例外を除いてショッカーの他に『国家』は存在せず、ましてや『国際法』や『国際条約』などに至っては歴史用語でしか聞くことがなくなっていた。
よってショッカー世界に戦時国際法や国際条約はない。世界統一直後に全ての国際条約は「ショッカーの掲げる新世界には不要」として政府によって段階的に破棄されたからだ。
そしてその国際条約の中には捕虜の人道的な取り扱いを定めた『ジュネーブ条約』も含まれていた。
したがってこのままでは国内法に基づいて捕虜達は強制収
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