とある自由惑星同盟転生者の話 その2
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ラインハルト艦隊は前進を止めようとしない。
「敵の左翼艦隊、更に前進してきます。距離、16000」
「ふむ、これは……」
「何かの罠ではないでしょうか?」
ラインハルト艦隊の無謀としか考えられない前進行動に誰もが戸惑いを隠しきれない。
そして、ロボス元帥が左翼艦隊攻撃の命令を下そうとした、その時―――ラインハルト艦隊は突如針路を左に転換し、戦場を横切る形で横断し出した。
このラインハルトの戦場横断を同盟軍は罠と勘違いし攻撃の好機を逃すばかりか、側面への展開までも許してしまう。
やばい、このままだと原作と同じく同盟軍は全滅の危機に瀕する。
「ボロディン提督、これは罠ではありません。至急、攻撃しましょう」
「ん〜、確かにここでチャンスをみすみす見逃すのもあれだな。よし、全艦攻撃開始!」
第十二艦隊はラインハルト艦隊に砲撃を加えるが、ラインハルト艦隊は既に過半まで横断していたため攻撃は中途半端なものとなってしまい、撃沈することができたのは2000隻程度にとどまった。
ラインハルト艦隊は戦場を横断し、味方左翼の側面に付く。
く、これは……原作通り消耗戦になるな。
・・・・・
自由惑星同盟軍旗艦アイアースの作戦室に各艦隊の司令官と参謀たちが集まっている。
「我が方の損害18651艦、死者228万。艦数はともかく、死者の数は敵を下回っています」
「問題は生存者の数では無く戦える戦艦の数だ」
「艦船の消耗も現在我が方が有利です。しかし、敵軍には無傷の艦隊がいます」
横断中に第十二艦隊の砲撃で2000隻程度の損害は与えているが……。
「もし、あの艦隊が攻撃を開始したら我が軍の全滅は避けられません」
「何故あの艦隊が我らの目前を横断したときに第十二艦隊以外、誰も攻撃しなかったのだ!」
「…………」
ロボス元帥の問いに誰も答えられない。
あのとき、ほとんどの人間が同じ考えを思い浮かべていたはずだ。
『これは罠ではないか』
と。
そんな中、遂にラインハルト艦隊が突撃を開始し出した。
「敵左翼艦隊、突入してきます」
数は帝国軍の方が多いのだ。
このまま行けば同盟軍は分断され壊滅する。
「もはや一刻の猶予もありません」
「策があるのか?」
「少数の艦で敵の裏側へ出て敵要塞を攻撃せんと見せかけ、その隙に本隊は撤退します」
「ふむ、陽動作戦か。だが、要塞に向かった者はおそらく二度と帰ってはこれんだろう。誰がその任務を引き受けてくれるのか」
会議室は沈黙に包まれる。
「私がやらせていただきましょう」
「ん?」
「お前は、ヤン・ウェンリー准将」
ヤンは、小さく頷いた。
・・
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