第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠の町
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で、急遽予定を変更した私たちは、ユウリと一緒にお城に行くことにした。
身だしなみを整えてから行きたいので、一度部屋に戻ることに。そういえばシーラは起きてるのだろうか。
「あっ、おかえり、ミオちん!」
部屋に入ると、朝から元気いっぱいな声のシーラが出迎えてくれた。いつもは寝起きの悪い彼女だが、今日は珍しくとても機嫌が良い。
「おはよう、シーラ。今日はなんだかご機嫌だね」
「へへ、まあね☆ それよりミオちん、今日は町を廻るんでしょ? 一緒に行こうよ♪」
彼女はいつもの調子で私の腕にしがみつき、にこにこしながら話しかけてきた。
「あのねシーラ。先にこれから皆でお城に行くことにしたんだ」
「え?! そうなの?!」
やったー、と言いながら、嬉しそうにぴょんぴょん跳び跳ねている。
「シーラもお城に行きたかったの?」
「うん! だって面白そうじゃん♪」
お城に面白さを求めるのもどうかなあ、と思ったが、細かいことは気にしないことにした。
「そうだ、ルカにも言っとかないとね」
「あ、るーくんなら、昨日もらった羽根を持ってどっかに出掛けたよ?」
昨日もらった羽根とは、キメラの羽根のことだろう。そういえば昨日、その羽根がキメラの翼の材料になるって教えてもらったんだ。ならその羽根を買い取ってくれるところに行ってるのだろう。
「そっか。じゃあルカが戻ってくるまで待ってた方がいいよね」
「ここからすぐ近くだって行ってたから、もーそろそろ帰ってくるんじゃない?」
シーラの言うとおり、ちょうど身支度を済ませた頃、買取りを終えたルカが戻ってきた。ルカは宿のカウンターで待つ私たちに気づくと、懐からなにかを取り出した。
「お待たせしてすみません! 値段の交渉してたら遅くなっちゃって……。これ、気持ちですけどどうぞ! ここまで来てくださったお礼です!」
私たちに渡したのは、羽根ではなく、完成品であるキメラの翼だった。それを人数分、つまり一人一つずつ私たちにくれるってことだ。
「どうしたの、これ? もしかして、買ったの?」
私が聞くと、ルカは笑ってはぐらかす。おそらく近くの道具屋で買ったのだろう。素材の買取価格はわからないが、キメラの翼は一つ買うだけでもけして安くはない値段だ。
「ありがとー、るーくん!」
歓喜の声を上げると同時に、がばっとルカに抱きつくシーラ。ルカもまさかいきなり抱きつかれるとは思ってなかったらしく、顔を真っ赤にしてどぎまぎしている。
「ありがとな。でも、いいのか? お前の師匠に怒られねーか?」
「大丈夫です。もともと今回は、いつもより多めに旅の資金を師匠から頂いてたんで、どうか気にしないでください」
「
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