第26話 八つの媒体と、神無月の巫女
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力、『八雲の龍』なり!』
その圧倒的な力を見せた邪神は意気揚々と畳み掛けるように言う。
『あの小娘には扱えなかったこの最強の力で、取るに足らない貴様等を喰らいつくしてくれようぞ!』
そう言う邪神に呼応するかのように、毒で創り上げた龍が盛大に咆吼を行ったのであった。
『では行け! 八雲の龍!』
その主の命令のままに、毒の龍はまるで意思を持っているかのように巫女二人へと喰らいつかんと迫っていった。
それを見ながら、千影は冷静に言葉を放った。
「あなた……勘違いしているようだけど、一つ言っておくわ。あの子はその力を使えなかったのではなく、『使わなかった』という事よ」
それは、泉美の優しさであったのだ。このような物騒な代物を平気で使えば、周りに甚大な被害が生まれるが故に、決して彼女はこれを使わなかった。それが事実なのだ。
だが、その言葉は当然邪神には通用しなかった。
『ふん、虫ケラ共の戯れ言が! そのような負け惜しみはこの力を少しでも防いでから言ってもらいたいものだな!!』
そう言うと、その昂ぶる邪神の感情に呼応するかのようにまたも毒の龍は吠え猛り、一気に巫女二人へと飛び掛かっていったのであった。
それを聞きながら千影は呟いた。「防げばいい」のであるのかと。
「姫子、あれをやるわよ!」
「合点承知!」
やや古風な返答をした姫子だが、既に相方の千影と巧みに息が合っているのは明白であるのだった。その証拠はすぐに出る事となった。
「「『月輪鏡玉大防壁』」」
そう二人が同時に唱えた後すぐであった。彼女らの操る神機楼二体をすっぽりと包むように防護膜が出現したのであった。
『な……まずい!』
その護りが決して自分では貫けるものではないと、力に溺れていた邪神もなけなしの勘にて察する事が出来たのであった。
だが、時既に遅く、毒の龍はそのまま防壁へと突っ込んでいったのである。
その後は、邪神の予想した通りとなったのだ。その毒の龍による攻撃は防壁の力により『そっくりそのまま』邪神へとはじき返されてしまったのであった。
邪神は力に溺れたツケが、ここで払うはめになってしまったのだ。巫女二人に思いしらせる為に、特に強大な力をと選んだ武器により、自らの首を絞める事となってしまったようだ。
『ぐああああああああああっ!!』
その力の奔流に飲まれた邪神は、そのまま自ら放った毒の暴流にその身を滅ぼされていったのであった。
それを見届けた千影は、最後にこう言った。
「世の中はおかしいものでね。力を持つ者は常に裁かれずに正しい存在として幅をきかせるもの。だから、あなたは恥じる事はないわ」
そして、それに追従するように、姫子は締め括る。
「でも、それが『正しい』んだから、その結果
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