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神機楼戦記オクトメディウム
第26話 八つの媒体と、神無月の巫女
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千影ちゃん、こんな時だけどいいかな?」
「何かしら、姫子」
 まずは話し掛ける為の許可を相方に取る姫子。そして、意を決して姫子はその想いを自らの口に紡がせるのであった。
「千影ちゃん、今まではあなたの気持ちをうやむやにはぐらかしてきたけど、今ここで受け止めるよ」
「姫子……」
「確かに、女の子同士でってのは世の中のルールから見れば問題が多いけどね」
「……」
「でも、愛する心に、それが本当の愛だったら、その気持ちには正直になるのが自分の心も喜ぶ事だって、私は思うんだよね」
「……」
「だから、この先ずっと一緒にいる訳にはいかないかも知れないけど、『その時が来る』までは一緒にいようね、千影ちゃん♪」
「姫子♪」
 その姫子の言葉に千影は救われる気持ちであるのだった。生物学的に反するが故に、ずっと自分の中で燻らせていた気持ちを、姫子は快く受け入れてくれたというのだから。
 ここに、千影の心は晴れ渡る感覚となるのであった。その想いを胸に、千影は姫子に言う。
「ありがとう姫子。それなら、一緒の時をこれからも味わう為に、こんな化け物はさっさと倒してしまいましょう♪」
「そうだね♪」
 そんなやり取りを観ていた完全体の邪神は思っていた。
 ──なにやら虫ケラが身の程知らずの事を喚いているな、と。
 だからこそ、その虫ケラ共に思いしらせる今これからが楽しみで仕方がない、と。
 その為に、これから自分はどう出ようかと邪神は昂ぶる心が抑えられないようであった。
 彼は全ての首の力を還元した時に、それらの神機楼の武装を全て自身に備え付けていたのである。
 イワトノカイヒの光学兵器、マタタビノツワモノの獣性と爪と牙、マスラオノコブシの格闘能力、ヤゴコロノトウロの虚像実体化の能力、ガキノユウモンの捕食能力、タケノミカヅチの電撃、スクナノヒコの破壊の巨翼。
 どれも魅惑的な力ではないか。それが全て自分の物なのだから、その充実感は他の追随を許さないというものである。
 だが、その中でも彼が気に入っていたのは、カルラノカブトのある武装であるのだった。
 それは、毒の巨龍をその身から放出するという、泉美が一度も使わなかった力なのであった。
 それこそ、この思い上がった虫ケラ共に『手本』を見せてあげるには最も相応しい力だと邪神は踏み、それを実行に移そうと動き始める。
『巫女共……貴様等に一つ良い事を教えてやろう。実は、カルラノカブトには貴様等が見ていない力があってな、それを今から見せてしんぜよう!』
 そう言うと、邪神はその身に膨大なエネルギーを溜め始め、そしてそれを胴体の口から一気に解き放ったのであった。
 すると、そこから禍々しくおびただしい量の毒により形成された巨大な龍が現出されていたのである。
『これこそがカルラノカブトの最強の
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