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神機楼戦記オクトメディウム
第25話 真相と決着
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息子達の母親を殺してしまった自責の念、そしてそのような母親である事に気付けずに身を結んでしまい後に生まれる家族の幸せを滅茶苦茶にしてしまった自分自身に責任を感じた事にあった。
 しかし、それは彼が息子達の元へと帰らなかった『直接の理由』ではなかったのであった。
 そこに、例の如くシスター・ミヤコが現れたのであった。そして、言葉巧みに大邪へと勧誘していったのも同じである。
 だが、彼の場合は少しその内容が違ったのである。
 彼が、「私を邪神の手先とする気か?」と問うと、ミヤコはこう答えたのであった。
「いいえ、滅相もありません。あなたこそが大邪の大将となるのです。私達はそれに従って行くだけです」

◇ ◇ ◇

「それが、私が大邪一の首として衆を取り仕切るに至った経緯という訳だ」
「……やっぱり、抗う事は出来なかったんだよね?」
「ああ、邪神の心を支配する力は絶大だ。私でも、いや、私のような人間だったからこそ取り込まれるに至ってしまったという訳だ」
 そこまで聞いて、士郎は邪神の力の恐ろしさを再度実感する。しかし、今ならばそこから解放される好機だというものだろう。
「でも、父さんのスクナノヒコは俺が撃墜したから、もう大丈夫な筈だよ?」
 そう期待に胸を膨らませながら士郎は言う。だが、ここで翼は首を横に振るのであった。
「いや、残念ながら、お前にはもう一仕事してもらわないといけないようだ」
「どういう事?」
 思わせぶりな台詞を吐いた翼に、士郎は首を傾げる。
「神機楼は日本古来の神の名前から取られている者も多いのは知っての通りだろう? そして、スクナノヒコの由来となった少名彦神は小人の神でな……」
 そう翼が言うと、彼の元に、先程撃墜した筈のスクナノヒコの力が粒子となって集まってきたのであった。
 そして、それらは彼の体をすっぽりと覆ってしまったのだ。
 その後光が収まると、翼の姿が豹変していたのである。今の彼は、スクナノヒコを模したデザインのパワードスーツを身に纏っている状態であるのだった。
「このように、スクナノヒコはその身を小さくして持ち主を最後まで戦わせる仕様となっているようなのだよ」
「そんな……」
 折角、これで翼を大邪の手から解放出来ると思ったのに、まだ決着は着いていなかったという事のようだ。
 だが、同時に士郎はこの状況に感謝もする所であるのだった。
 それは、先程翼の搭乗機をクサナギノツルギの半ば反則的な性能により沈めてしまった事にあるのであった。故に、今のこの状況は翼と正々堂々とした勝負を行えるという好機とも捉えられるというのが士郎の考えであった。
 なので、彼は敵機の往生際の悪さを逆に利用しようと算段を決める事とした。
「では、父さん。手合わせお願いします」

◇ ◇ ◇

 
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