第22話 黄泉比良坂へ
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しまったようなんだよな……」
言いながら頬を赤らめて、士郎はそこを指で照れくさそうに掻く仕草をするのだった。
曰く、彼は泉美が皆の事を良く見てくれている、そこに関わった日がそう長くはないにも関わらずに惹かれてしまったとの事であった。
それは、そんな泉美の様が自分の敬愛する兄である和希と重なるからとの事なのだった。自分が好きになる者が、より身近に憧れる人に近い方が惹かれるという事のようである。
それを聞いた泉美も、顔を真っ赤にしてしまいながら言葉を選ぶ。
「わ、私なんかが和希さんと肩を並べられる……えっ……と」
しどろもどろになりつつも、彼女は何とかなけなしの自分の言葉を紡いでいく。
「ありがとう……士郎君。私の事、そんな風に想ってくれていたんだ……」
◇ ◇ ◇
そんな思いも掛けない愛の一組が成立したその後日、一同は大神家へと集っていたのであった。
その理由は他でもない、いよいよ敵の本拠地である『黄泉比良坂』へと乗り込む為であるのだ。
そのような一大決心故の皆のこれからの行動故に、この場には普段見ない面々もいるのであった。
まず、大神家を取り仕切る大神和希はこの家の者だからいるのは当然として、稲田家専属のメイド長である如月アリアに、八雲家の執事である早乙女真人もこの場に駆け付けていたのだ。
無論、彼らはこれから敵陣へと向かう一同を送り出す為である。
「士郎、気を付けて行くのですよ」
「姫子様も無理をなさらずに」
「あなた方は泉美お嬢様の大切なご友人がた。だから、無事に帰って来てくれる事をお嬢様もお望みです」
三人の最後にそう言った真人であるが、その泉美は残念ながら今回は出陣出来ないのであった。
「ごめんなさいね、みんな。私のカルラノカブトは修復中だから、みんなと一緒には行けないわ。でも、シスター・ミヤコに付けた発信機を探知するアプリは皆のスマホにインストールしておいたからね」
一介の女子高生が自作のアプリを作り上げてしまうとは如何なのであるが、今皆は真剣そのものである為に、それをツッコむのは無粋だと一同感じている所であるのだった。
そんな泉美に対して口を開いたのは姫子であった。
「泉美ちゃん、ありがとう。向こうで目的を果たしたら、絶対帰って来るからね♪」
「ええ、待っているわ」
そう言って二人は互いに微笑み合って友情の証を確かめ合うのであった。
それに続いて、泉美は今度は千影に言う。
「千影さん、あの時はありがとう。そのお陰かは分からないけど、その後に私には目標が出来ましたよ」
「そう、それは良かったわ」
それは、女子高生達がやるには少し禁忌に踏み込んだ行為の事である。だが、それが少なからず泉美の背中を押したのは紛れもない事実なようであった。
そして、最後に泉美
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