第22話 黄泉比良坂へ
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なので、まずは発信機を大邪衆へと取り付け、その居場所を割り出させてもらうというもの。これは、泉美に大邪の力が備わった事で、異空間の人物に対してでも感知出来る仕様となっているが為に出来る事である。
だが、居場所が分かっても敵は異空間に存在するのだ。無論、普通にはそこへは行く事が出来ないだろう。
そこで、士郎の大邪としての力である『タケノミカヅチ』の出番であるという事なのであった。
「本当に、あのタケノミカヅチに時空を切り裂くような力があるってんだよな?」
「ええ、それは間違いないわ」
士郎の疑問に、泉美は答えるのであった。これも『調べた』事だから間違いはないだろうと。
そこで、「でも」と泉美は釘を刺すように士郎に言う。
「でも、今はまだそれを実行する時ではないわ。その時が来たら……頼むわよ」
「分かった」
今はまだ敵陣に乗り込む為の準備が整っていないのである。なので、今すべき事はちゃんと体制を整える事に他ならないのだ。
こうして二人の意見は揃ったのであった。しかし、最後に二人は互いに言いたい事があるのであった。
「話はこれで決まったな。だから、まず俺から言わせてくれ」
「お先にどうぞ」
そう言われると、士郎は「済まない」と言いながらそれを口にし始める。
「泉美、わざと負けるというのは精神衛生的にいいものじゃなかったんじゃないのか?」
それが士郎が聞きたかった事なのであった。例え作戦でも、負けるというのは悔しいものであるのだから。
そう言われた泉美は、こう士郎に返すのであった。
「確かに負けってのは悔しいし、勝ち負けがどうでもいいって事は決してないわ。でも、何かを解決するには必ずしも勝ちにこだわる必要はないと、私は思うの」
「泉美……」
その言葉に士郎は心打たれる気持ちであった。負ける事にも意味があると見出す彼女には、自身の技を磨いて勝負に勝つ為に精進してきた士郎にはないものが感じられる所なのだから。
そんな泉美の考え方は、今後とも必要になってくるだろうと、士郎は改めてそれを重宝しようと思う所であった。
士郎の方からの質問はこれで終わったのであった。次は泉美からであろう。
「俺の方からは以上だ。それじゃあ次は泉美の番だ」
その言葉に頷くと、泉美は意を決したように言い切るのであった。
「士郎君。でもあれは本心でしょう? あなたが姫子さんの事を好いているという事は?」
その事を利用するはめになってしまった泉美は、申し訳ない気持ちで言うのであった。そんな彼女に士郎は言う。
「ああ、確かに俺は前々から姫子に片思いをしていた、それは紛れも無い事実だ。でも……」
そう言って士郎は一呼吸置いた後で、思いも掛けない事を口にするのであった。
「でも、どうやら俺は今、一番泉美の事が好きになって
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