第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第44話 空鰓のUMA
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神力を使った瞬間移動──縮地を行い、衣玖が飛ばされた勇美と天子から離れた場所に依姫は出現した。
「ふう……縮地は問題なく出来たみたいですね」
そう一人ごちる依姫。そしてお姉様程立派にはこなせないけどねと心の中で付け加える。瞬間移動のような力は惑星規模で行える豊姫に足元にも及ばないからであった。
だが、依姫はそこで自分に力を貸してくれた神々の事も忘れてはいなかった。姉への尊敬と神々への敬意の中で複雑な心境になる依姫だった。
それはそうとタッグ戦を始めた時から豊姫の姿は見受けられない。一先ず月へ帰ったのだろうか。
だが豊姫の事だからこの勝負が終わる頃には迎えに来てくれるだろう、依姫はそう思いまずは当面の課題に目を向ける。
「あ、いたわね」
そう依姫は確信する。お目当ての人物を見付けたのだ。
舞いの神と風の神の力による旋風で吹き飛ばした、永江衣玖その人である。
「まあ……」
だが、依姫はその姿を確認すると驚きと感心に苛まる事となる。
その理由は。
「まさか無傷でしたとはね……」
頭を掻きながら依姫が言う視線の先には、あれだけの強風に巻き込まれながらノーダメージの衣玖の姿があったからだ。
そんな依姫に対して、衣玖は丁寧にお辞儀をしてから説明する。
「そういえばまだ申しておりませんでしたね、私の能力」
「?」
そう衣玖に言われて依姫は訝りの表情を見せた。
そして、彼女が言わんとしている事を衣玖は察して代弁する。
「ご察しの通り、私は電撃を操れますが、これは私の力であり能力ではないのです」
「……」
言いたい事を言われて依姫は少々面喰らってしまった。
「驚かせて済みませんね。これが私の『空気を読む能力』なのですから」
衣玖はゆったりとそう説明した。
「成る程……」
依姫は言いたい事は幾らかあれど、取り敢えず納得する事にした。
衣玖がある程度相手の言わんとする事を読んで見せたり、極め付きはやはり旋風を無傷で掻い潜った事だろう。
「貴方、素敵ですね」
依姫はそう衣玖を称した。それが能力からであるとはいえ、彼女を優雅に彩っているのだから。
勇美が惚れ込むのも頷けるというものだ。
「お褒めに預かり光栄です」
そう言って衣玖はスカートを気品良く両手で摘まみながら答え
た。
そして、最後に確認しておきたい事を依姫は口にする。
「それから、これまでの事から判断して、貴方わざとフェザーダンスに巻き込まれたわね」
と、いう事になる。空気を読めるのなら、わざわざ旋風に取り込まれてやる必要はなかったのだ。
「気付いていましたか。確かにメインディッシュは総領娘様に堪能してもらいたくて、こうしたまでですよ。……そういうあなたも大概ではありませんか?」
衣玖は丁寧であるが嫌味なく
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