第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第44話 空鰓のUMA
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だが、依姫は揺るぎなき護りの力を持つやたの鏡を現出しているのだ。恐れる必要はないだろう。
とうとう光は淀みなく磨かれた鏡面へと取り込まれていった。それにより凄まじい空気の震えが生じているが、この神鏡の前には成す術がない筈である。
だが、まさかその思惑は外れる事となる。
「!?」
依姫は感じたのだ。この光が生み出す衝撃の凄まじさに。
──このままでは鏡が弾き飛ばされる。そう思った依姫は鏡を斜め上に向けたのだった。
それにより光の砲撃は進行方向を変更されて、遥か上空へと誘導されていったのだ。
やがて終わる光のブレス攻撃。そして、その光景を見届けていた衣玖は言葉を発した。
「うまくかわしましたか……」
「ええ、まさかやたの鏡を弾き飛ばせる程の力があるなんて驚きですよ」
依姫のその言葉が示す通り、今の衣玖の攻撃は鏡を吹き飛ばす程の力があったのだ。
幾ら神の加護を受けた護りの産物を持ってしても、それを押し退ける程の力があれば、攻撃は持ち主に届くというものだ。
要は、どんな攻撃でも壊れない盾を持っていようとも、それを手離す事になれば意味がないという事だ。
故に依姫は攻撃を弾き返して相手にそのまま返品するという芸当を見せるという欲張りは見せず、攻撃が自分に届かなくする事だけに専念したのだった。
「さて、どうしたものか……」
依姫はそこで手をこまねいた。
相手がタケミカヅチの名を称したスペルで今の姿になったのなら、こちらは本物の建御雷神の力をお見舞いしてあげようか。
そう一瞬思った依姫だったが、すぐにその考えを却下する。
相手は能力ではないが電撃を操るのだ。しかも今の姿は巨大な怪魚のものである。
下手に雷の力で攻撃などすれば吸収されるのは目に見えているだろう。
さて、どうしたものか。そう思い至った時、依姫は気付いた。
──何も『どうにかする』必要はないと。
その考えの元、依姫は口角が上がらないようにするのに必死であった。
「先程は光線であったからかわされましたが、今度はそうはいきませんよ」
言うと衣玖は再び口を開いて迎撃体勢に入る。
「【魚龍「バハムートブレス」】」
その宣言に伴い、衣玖の口に再びエネルギーが収束する。
だが、今回は光ではなく、炎熱であった。
煮えたぎるような炎を粘土細工のようにかき集めると、衣玖はそれを一気に吐き出した。
そして生み出されるのは爆炎の行列であった。その飲み込まれたら地獄行きの体感を味わうだろう列は爆音と震動を振り撒きながら依姫へと差し迫った。
それに対して依姫は、この場に来る際に使ったスペルの発動準備をする。天宇受売命と韋駄天は既にその身に降ろしている。
「【縮地「ライトステップ」】」
言って足を踏み込むと
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