第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第44話 空鰓のUMA
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りませんよ、私の能力は雷ではないのですから」
「確かに」
依姫はそう言われて納得する。衣玖は雷の専門家ではないのだから、それ以外の攻撃方法があっても別段驚く事はないのだ。
「いい判断……と言いたい所ですが、これは貴方の判断ミスですよ」
「!?」
衣玖はその言葉に耳を疑った。空気を読む事に長けた自分が読み違いをしてしまったのかと。
「【反射「やたの鏡の守護」】」
石凝姥命の力を借りていた依姫は、彼女の造りし神の鏡、やたの鏡を眼前に繰り出した。
すると光の清流はみるみる内に鏡へと飲まれていったのだ。
「!」
驚く衣玖に、依姫は追い討ちをかけるかのようにいう。
「驚くのはまだ早いですよ。光の直進なら私の剣で簡単に斬れました。
それをわざわざやたの鏡で受け止めた理由を、これからお見せしましょう。──石凝姥命、お願いします」
その依姫の指示を受けて、石凝姥命は軽く頷くと、持つ鏡に神力を込め始めた。
すると鏡は一層輝きを増す。
そして、鏡から衣玖から溜め込んだ光が、一気に彼女目掛けて放出されたのだった。
「!! くうっ……!」
自分の力で生み出した光の激流に飲まれ、衣玖は苦痛に顔を歪めた。
今度はダメージがあったようだ。風なら空気を読みいなす事が出来る。電撃なら自分は耐性を持っている。
だが、今衣玖を飲み込んでいるのはそのどちらでもない、光のエネルギーなのだ。故に今回彼女は成す術がなかったという訳だ。
そして、漸く衣玖を飲み込んだ光も収まっていった。
「くっ……」
先程までのゆったりとした振る舞いが崩れ、衣玖は苦悶の表情を浮かべて依姫を見据えながら言った。
「さすがです依姫さん、やはり月を守護する者は私の遠く及ばない所におられるようで」
「ええ、私やお姉様には護るものがありますから、強くならないといけませんからね」
彼女らしく謙遜せずに依姫は言う。そして、「まだまだ強くならなければいけないのです」と付け加えた。
「これ以上に上を目指すのですか」
依姫の弁を聞いて、衣玖は途方もないものを感じた。
だが彼女とて易々と勝ちを譲る気はなかったのだ。
「参りますね。ですが私もそう簡単に引く気は有りませんよ」
言うと衣玖はスペルカードを取り出す。だが、先程までとは何か感じるものが違う。
「これは総領娘様にも見せた事のないとっておきなんですけどね、あなたに対して出し惜しみなんて無粋の極みでしょう」
そう意味ありげな事を言うと、衣玖はその手段の名を刻む。
「【雷神魚「フィッシュタケミカヅチ」】」
その宣言の後、衣玖の体が目映い光で彩られた。
「?」
何が起こるのだろう? 依姫はそう思いながら事の成り行きを見守った。
光は一際激しくなるが、やがてそれも収まった。
そし
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