第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第44話 空鰓のUMA
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刀を持つ手に違和感を覚えた。
「……?」
「お気付きになられたようですね。私の弾も当然電気ですから、刀で捌く際にはお気をつけて下さいね」
金属である刀は当然伝導体である。それで電気に触れれば持ち主である依姫にも幾分か電流は走るというものだ。
「これは厄介ですね……」
刀を扱う自分は些か分が悪い、そう依姫は思った。
故に次の手を出し辛くなる依姫。その隙を空気を読む事に秀でた衣玖が見逃す筈もなかった。
「ではこのまま行かせてもらいますよ。【雷魚「雷雲遊泳弾」】」
そして衣玖は先程と同じく指を依姫に向けると再び電撃の弾を彼女目掛けて放出した。
「……」
依姫は無言でそれを見据える。彼女の視線の先には、無数の電撃弾が迫っていたのだった。
一つでも触れると面倒なのに、それが数多く存在していたのだ。
だが、依姫は全く動じていなかった。
人の手で触れれば厄介。それならば神の力を借りればいいまでの事。
別にこの勝負で神降ろしをしてはいけないルールなどないし、依姫自身そのようなものを自分に課してなどいない。
故に依姫は迷わず神の力を借りる事にしたのだった。
「【護符「祗園式避雷針」】」
依姫は祗園様の力を借りると、例の如く刀身を地面へと突き刺した。
だが、そこからが様相が違ったのだ。現れたのは動いた者を捌く刃の牢獄ではなく、一本の高く聳える刀身であった。
僅か一本の刃でどうするつもりなのか。その答えはすぐに出る事となった。
「……?」
空気を読む事に長けた衣玖はいち早く異変に気付いた。自分が放った電撃の弾幕の軌道に変化が見られたのだ。
そして、電撃弾の群れは、まるで意思を持っているかのように次々と例の長き一本刀へと吸い込まれていったのだ。
こうして弾は全て飲み込まれてしまったのだった。
「成る程、避雷針ですか……」
「そういう事ですよ」
避雷針。それは建物に雷が降り注がないように高い所に、かつ電気を通す金属の性質を利用して設置される保護手段である。
それを依姫は神の力で瞬時に設置したのだった。
「やりますね……」
衣玖は正直言うと閉口していた。神降ろし……何という応用力のある業なのかと。
この人は自分とは格が違うと痛感した。成る程、連れの者が寄り掛からないように離れようと考えるだけの事はあると。
だが、衣玖はこの勝負を捨てた訳ではなかった。そして、彼女は次なる手を打とうとする。
「避雷針があるなら、それに影響されない力で攻撃すればいいだけの事ですよ」
言うと衣玖は懐から新たなスペルカードを取り出す。
「【光星「光龍の吐息」】」
そして、衣玖は両手を揃えて眼前に構えた。
そこから放たれたのは先程までの電撃ではなく、光の奔流であった。
「!?」
「驚く事はあ
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