第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第44話 空鰓のUMA
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微笑みながらそう指摘した。
「さすがですね、お分かりでしたか……」
そう言って依姫は自分の思惑の種明かしをする。
それは、あのまま続けていたら勇美は依姫に頼る形になっていたからだと。
勇美は腹を括り、安いプライドに捕らわれなくなったのだ。
それ自体は良い傾向である。
しかし、勇美はあの場で、活用出来るものは活用しようとしただろう。
その結果、悪い言い方だと『依姫に依存する』形となっていたのだ。
それも立派な戦術である。だが依姫は勇美の成長の為に敢えて、あの場から離れる事にしたのだった。
「お厳しいのですね、依姫さん」
「確かに、自分でも思うわ。でも、あの子はそんな私を求めてくれているのよ」
なら、自分はその気持ちに最大限に応えなくてはいけないだろう。依姫はそう締め括った。
「それでは始めましょうか、『永江さん』♪」
「……あなたも私を名字で呼ぶのですか」
「ええ、勇美の気持ち、今よく分かるわ」
◇ ◇ ◇
そして、言うなれば『第二回戦 Aブロック戦』とでも称するべきか。
そのような内容の戦いが始まったのだった。
依姫はまず、衣玖が動きがゆったりな分、彼女が仕掛けて来るのを待っていると些かこちらの不利だろうと踏み、こちらから仕掛ける事にしたのだ。
まずは小手調べ。依姫は刀を振り抜き、衣玖へと振り翳した。
「甘いですよ」
言って衣玖は腕を翳すと、そこに服の数多のヒダが集まっていき、螺旋状になった。
「【魚符「龍魚ドリル」】……」
そのスペル宣言通り、衣玖の右腕は穿孔機の如く依姫の刀へと向かっていったのだ。
そしてぶつかり合う剣とドリルという、所謂『男のロマン』同士。生憎、依姫も衣玖も女性な訳であるが。
刃と穿孔機は衝突により、激しく火花と金属音をほとばしらせていた。
そして、両者はその得物に力を込めると、互いに弾かれ、距離を取り直したのだ。
即ち、仕切り直しである。
「永江さん、貴方面白い攻撃をするのね」
「そういう依姫さんはスペルカード無しであれ程の剣捌きを見せましたね」
そう両者は言葉を投げ掛け合う。
「……」
「……」
そして二人とも見つめ合い、互いに相手の隙を探り合っていた。
だが、その沈黙は破られる事となる。次に動いたのは衣玖であった。
やはり状況を読む事においては彼女の方が得意なようだ。
「【雷符「雷鼓弾」】」
言って衣玖は依姫に対して指を指すと、そこからエネルギーの弾を撃ち放った。
「その程度の攻撃……」
依姫は至極落ち着いた様子で刀を構える。
そして、迫って来たエネルギー弾を容易くそれで切り払ったのだ。バチンという珍妙な音を立てて弾は弾け飛んだ。
依姫にとって実に簡単な作業であった……筈である。だが、彼女は
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