第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第43話 東戯王TAG FORCE10419
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は項垂れた。何、人を妄想に使おうとしているんだと。
そんなやり取りをした後、勇美は切り出す。
「では、まずは私から行かせてもらいますよ!」
先陣を切ったのは勇美であった。いつも通りに彼女は神に呼び掛ける。
彼女が呼び掛けたのは、初の弾幕ごっこで力を借りた『マーキュリー』であった。
その力で勇美は、かつて造った事のある姿の機械を生成していった。
それは二本の逞しい脚部を持つものであった。その名前は。
「『エルメスの靴』よ。もう一度その力を見せてあげて」
勇美の呼応に応え、エルメスの靴は……衣玖へと向かって俊敏に走り出したのだ。
「永江さん、私の将来のお嫁さんに対して悪いですけど、覚悟して下さい」
何故勇美は彼女を狙ったのか。その理由はこうだ。
勇美は今までの衣玖の動作を見ながら思っていたのだ。──この人はゆったりと泳ぐように振る舞うから、スピードは苦手分野だろうと。
だから勇美は素早さに定評がある(と、自分で思う)エルメスの靴を彼女にぶつけたのだ。
「くっ……。いい判断ですね」
狙われた衣玖は口惜しそうに呟く。そして断じてお嫁さんではないと心の中で付け加えるのだった。
そんな最中にもエルメスの靴は衣玖に肉薄する。そして、それの蹴りの一撃が今正に衣玖へと届こうとしていた。
ダメージを覚悟する衣玖。そしてほとばしる衝撃。
だが、いつまで経っても彼女の脳が痛みの信号を受け取る事はなかったのだ。その理由は。
「……総領娘様?」
そこには金属の足の一撃を生身の体で受け止める天子の姿があった。
「私がいる限り、そう簡単に衣玖には攻撃させないわよ」
そう得意気に言う天子は両手を交差して防御体勢を取っているとはいえ、蹴りをもろにもらっていたのだ。
それでいて、今の彼女は別段痩せ我慢している様子はなかった。
そこで勇美は確信する。
「これが天子さんの防御力ですか……」
感心半分、口惜しさ半分で勇美は呟く。
勇美は噂に聞いていたのだ。天子は天人の中でも、その身の守りは一級品であると。
「ええ、これには自信があるからね」
そして、それが天子の誇りでもあったのだ。
彼女の防御力は努力よりも彼女自身の体質によるものが多い。だが、その持って生まれた力、存分に活用してやろうというのが天子の考えである。
続いて攻撃を受け止めた後、天子は鞘に収めた剣を抜き放った。
これは比那名居に伝わる名刀、緋想の剣であった。
外観は、まるで緋色の炎を固めたかのような、そんな不思議な様相だ。
「この剣はお父様からの借り物の剣だから私の物じゃないんだけどね」
天子はそう物惜しそうに呟く。
それを聞いた勇美はこう答える。
「ううん、気にする事ないよ。私が今使ってる力だって、依姫さんの神降ろし
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