第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第42話 勇美、空へ
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は先導を促した。
そして三人は比那名居邸の門の前まで赴いた。
すると、そこには門番という有るべき存在がいた。有権者の住居の門前には見張りがいるのは月でも天界でも同じなようだ。
そこへ豊姫が歩を進めていく。それに気付いた門番の一人が口を開く。
「あっ、あなた様は豊姫様ですね。とするとお連れの方々がそうなのですね」
「ええ、そうよ」
豊姫は比那名居家の者達に話が通っているようだった。
そして、もう一人の門番が豊姫の後ろの二人に呼び掛ける。
「あなた方が綿月依姫様に黒銀勇美様ですね。
話は総領娘様から聞いています。どうぞお通り下さい」
そう言った後、門番二人は互いに門の脇へと移動して勇美達に道を譲った。
「あ、ありがとうございます」
余りにも話がスムーズに流れた事に、勇美は呆気に取られてしまった。
これが天界の主の娘の力か。勇美は途方もない何かを感じるのだった。
そして三人は門を潜って比那名居邸の敷地へと入っていった。
門を抜けた先の道を歩きながら勇美は言う。
「でも、話の分かる門番さん達で良かったね」
「全くね。お姉様はいつの間に天界との関わりを築いたのかしら」
依姫はその疑問に首を傾げながら言う。
「ま、まあ細かい事は言いっこなしよ」
そこへ豊姫が入るが、どこか心なしか声が上擦っていた。
そんな豊姫が先頭を切る中、三人はお目当ての場所へと赴いていったのだった。
そして一行は目的の場所へと辿り着いたのだった。
そこは謁見の間であった。そして永江衣玖と共にお目当ての人物がいたのだ。
彼女こそ天界の主の一人娘、総領娘こと比那名居天子その人であった。
出でたちは白のカッターシャツに青のロングスカート、それに加えて前掛け式のエプロンと、特徴的な旗のような七色の飾りがあしらわれている。
そして帽子である。黒いそれ事態は何の変哲もない物であったが、問題は。
「桃……」
そう勇美が呟いた事が示す通り、その帽子には桃が付いていたのだった。
と言ってもそれはプチトマト程度のサイズの物であった。故に本物の桃という事は断じてなく、アクセサリーか何かだろう。
最後に天子自身は青のロングヘアーに、清楚に見えるがどこか小生意気そうな顔立ちと言うものであった。
更に言えば……。
「……」
「……」
暫し無言となる天子と勇美。互いに視線が向いた先には──胸があったのだ。
そして、おもむろに視線を合わせ、言葉無きメッセージを交わす二人。
「我が同志よ〜〜」
「お会いしたかったです〜〜」
そう言い合い、天子と勇美は固い抱擁を交わすのだった。
「変な友情が……」
「芽生えましたね〜」
その様子を依姫と衣玖は呆れながら傍観する。
「衣玖、黙らっしゃい!」
「これは
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