第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第42話 勇美、空へ
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、そんなつもりはありません」
血相を変えて迫って来た豊姫におののく勇美。はっきり言って『引く』。
「いえ、少し心の準備が欲しいと思いましてね」
怖じけづきつつも勇美は弁明する。
「天界に行くって、私にとってかなり大それた事なんですよね。
だからこの部屋から直接豊姫さんの能力で天界に直行するのは何だか怖いんですよ」
そして、勇美は結論を言う。
「だから、この部屋から直接じゃなくって、一旦永遠亭の外に出てからにしたいんですよね」
「それならいいわ」
勇美の申し出に豊姫も頷く。一見無意味にも思える『こだわり』だが、豊姫にもこだわりはあるし(特に桃と動物)、何より人のこだわりに介入するのはエゴの極みである事を知っいるからだ。
そして、三人は永遠亭の玄関を出て外に赴いた。
「いよいよですね」
文字通り勇美は手に汗を握っていた。ぶっちゃけ汗で濡れすぎて煩わしい。
「勇美ちゃん、準備はいい?」
「勇美、こういう時にリラックスは重要よ」
昂る勇美に、豊姫と依姫は優しく諭す。
「お二人とも、ありがとうございます」
言って勇美は呼吸を整え、続ける。
「いざ、夢見鏡の世界へ!」
「「それ違う」」
綿月姉妹は首を振った。それには色々触れてはいけないと心の叫びをあげるのだった。特に仲間が足手まといにしかならなかったのは辛い所だろう。
「はあ……はあ……気を取り直して」
突っ込み役にされるという不本意な扱いを受けつつ、豊姫は仕切り直しをする。
「「「天界へ!」」」
今度は三人の気持ちは一つになり、彼女らは天界へと旅立つのであった。
◇ ◇ ◇
「ここが天界ですか〜」
三人が移動を終えた後、勇美が感心したように言った。
そこは雲の上の世界であるので空の上に雲はない。なので日本晴れの如く澄みきった一面の青は芸術的で心を晴れやかにするものがある。
そして地面には、まるでドライアイスのように雲が漂っていて、まさに絵に描いたような天国のイメージにそぐう幻想的な雰囲気がかもし出されていた。
そして、天界独特の要素とは別に勇美の目を引き付けるものがあった。それは。
「うわあ……立派なお屋敷……」
勇美の指摘通り、彼女達の目前には荘厳で壮大な造りの屋敷が待ち構えていたのだ。
だが、驚いているのは勇美だけであった。彼女とは対称的に、綿月姉妹は極めて落ち着いていたのだ。
それは無理もない事であろう。かく言う二人もこれと同じ位豪勢な屋敷に普段から住んでいるのだから。
だが二人は決してその事を口にしたりはしなかった。
二人は勇美のような庶民の感覚を完全に理解している訳ではない。だが、その気持ちは大切にしていきたいが故の事である。
「それじゃあ、行こうか」
興奮冷め上がらない勇美に豊姫
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