第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第40話 月の巫女と楽園の巫女:後編
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グバンを想起させるものであった。
「くうっ!」
余りの衝撃に、さすがの依姫も計らずとも手に持った刀を吹き飛ばされて手離してしまうのだった。
(やった……!)
それを見据えて、霊夢は心の中で歓喜の声をあげた。
あいつの刀は厄介な神降ろしの補助を行う媒体、それを手離させた事により自分にも勝機が訪れたと。
生憎、今の自分では伊耶那岐、伊耶那美の力を使った事により神力を使い果たしてしまったけどねと思いながら。
自分でも無茶な戦いをしていると思う。だが、こうでもしないと今の自分は依姫には太刀打ち出来ないのだ。
柄にもなく熱くなっていると、今霊夢は思っていた。だが、そういうのもたまには悪くないなと感じるのだった。
やる事はやった。後は結果に任せるだけである。
そんな思いを霊夢が馳せる中、徐々に彼女と神々の力で引き起こした爆炎は収まっていった。
「はあ……はあ……」
そこには爆炎のダメージを受けて息を荒げている依姫の姿があった。
その光景を見て、霊夢は結論付けた。
「あ〜あ、私の負けね」
それが揺るぎない真実であった。──何故なら、依姫の手には握られていたのだ。
「まさか、金山彦命の力で一旦刀を分解して、金属部分を戦輪型にして探り寄せるなんてね……」
そう霊夢は本心から感心しながら言った。そこには清々しさすらあったのだ。
「ですが間一髪でしたよ。よくここまでやりましたね」
対する依姫も本心からそう言う。彼女は下手なお世辞は言わない主義なので、これはありのままに依姫が思った事なのであった。
そして、この激戦を見ていた勇美は──思わず感涙していた。
まさか彼女は戦いを見て涙を流すとは思っていなかったのだ。それだけ今回の勝負の内容は深いものがあったのである。
勇美は涙を拭い二人に呼び掛ける。
「二人とも素晴らしかったです!」
その勇美に対して、依姫と霊夢は温かい眼差しで返す。
──事はなく、それは養豚場の豚を見るような視線であった。
「えっ? どうしたのですか二人とも?」
気付けば勇美は依姫に背後からガッチリと取り押さえられていた。
そこに霊夢は勇美の腕を締め上げ捻り上げる、所謂『アームロック』を綺麗にきめていたのだ。それはもう芸術的に。
「このお茶と煎餅泥棒〜!!」
動力源である緑茶とそれを彩る煎餅を奪われた霊夢の怒りは凄まじかったのだ。容赦なく勇美は関節技の芸術の餌食となる。
「ごめん、ごめんなさい!! がああああ〜っ!!」
激痛に支配される頭で、勇美は依姫まで何故協力するのかと思った。今は痛みの事にしか意識がいかない。
そんな彼女が依姫と霊夢のわだかまりが解けて仲良くなっていた事をほっこりとした心持ちで思うようになるのは、熱さが喉元を
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