第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第40話 月の巫女と楽園の巫女:後編
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それは、まるで満足したかのように勇ましく地面に引かれていったのだ。
「すごい……」
この接戦を見ながら勇美は興奮気味になっていた。自分の慕う依姫には悪いが、彼女とここまで渡り合う戦いを見せる霊夢にも惹かれるものを感じたのだ。
そして、気付けば興奮の余り──霊夢が途中だったお茶とお茶請けの煎餅を飲み食いしながら観戦していたのである。
「あっ……やっちゃった……」
取り返しのつかない事をしてしまった。そう勇美は、まるで養豚場の豚を見るかのような霊夢の無慈悲な視線に晒されながら後悔するのだった。
そして、その霊夢は「奴には後で地獄を見せる」と腹を括り目の前の課題に意識を向ける。
「さあ、この勢いに乗って行くとしますか」
そう意気揚々と霊夢は言う。──月での鬱憤を晴らす為に。
霊夢は『無重力』と称される程であるから、『復讐心』等という束縛には捕らわれる事はない。
だが、彼女とてプライドというものがあるのだ。その衝動に答える形で霊夢は次の手を打とうとする。
そして彼女が取り出したのは、陰陽宝玉とは違う玉であった。
「!」
それを見た瞬間、依姫は凍り付くような感覚に陥る。
──それは月で、穢れをばら蒔かれた時の事に他ならない。
聞く所によれば、霊夢はその行為をあろう事かスペルカードにしてしまったようなのだ。
そして、それを発動する為に『玉』を媒体に使っているらしいのである。
「……」
依姫は無言になり意を決した。──霊夢が再び自分に対してそのような事をするのであれば、こちらもそれ相応の事をしなければいけないと。
幸いこちらは穢れを祓える『伊豆能売』を使役出来るのだ。大事には至らないだろう。
「そりゃっ」
そう思いを馳せている依姫に対して霊夢はその玉を投げ付けて来た。
これに穢れが仕込まれていれば即座に伊豆能売で対応する。そう考え依姫は玉を斬るべく刀を振り翳した。
「掛かったわね。この瞬間スペル発動よ!」
そう言って霊夢はありったけの神力を両手から送り出し、その神々の名前を言う。
「伊耶那岐に伊耶那美、その力を私に示して!」
「何ですって!?」
依姫は驚愕する。しかし、その驚きの方向性は予想だにしなかったものだった。
──伊耶那岐と伊耶那美は兄妹の神々であるが、身を結び夫婦となって天地創造を行った創造神なのである。
そんな神々を目の前の巫女は降ろしたと言うのか。
そう依姫が驚く最中、霊夢はそのスペルを宣言する。
「【焔姫「想世のびっくりバン巫女玉」】!!」
その瞬間、辺りは一瞬にして白の閃光に包まれる。
続いて起こったのは、凄まじい大爆発であった。赤と橙の中間の禍々しい色のエネルギーの奔流が引き起こされる。
これは正に大宇宙が創造される時に起こる大爆発、ビッ
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