第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第40話 月の巫女と楽園の巫女:後編
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は特定の人物だけの味方ではなく中立の立場を守っているのだ。
そして霊夢は「神降ろしを私に教えてくれたのは他でもない、あんたなんだからね」と付け加えた。
そう、依姫は霊夢に月ロケットでの邂逅の後、神降ろしを使って良からぬ事をしようとしていたという濡れ衣を拭う為に、霊夢も神降ろしが使えて彼女こそが犯人であった事の証明に依姫は彼女を暫く月に滞在させていたのだ。
その間に依姫は、神降ろしをかじったレベルであった霊夢に、本格的にそれを教えていたのだ。
その経験の結果が今出たという事であるが。
「そこまで飲み込みが早いとはね……」
そこに依姫は驚愕するのであった。
彼女もかつて永琳から飲み込みが早いと言われたのだが、その飲み込みの早さだけなら霊夢は依姫を凌駕するかも知れないのだった。
「でも、驚くのはこれを見てからにして欲しいわね」
言うと霊夢は先程の陰陽宝玉を懐から複数取り出すとおもむろに宙に投げ放ったのだ。
そして、再び金山彦命に指示を出す。
「金山彦命、この宝玉を手堅く包みあげなさい♪」
「何を!?」
依姫がそう思うや否や、宙を舞った玉の周りに針を構成していた金属成分が集まっていった。
それはさながら金属のコーティングである。
「名付けて【鋼泡「博麗メタルボール」】よ。さあ、行きなさい」
霊夢はパチンと指を鳴らすと、それを合図に宝玉……に金属を纏わり付けた物体は次々に依姫に向かって行った。
「味な真似してくれるわね、でもその程度……」
相手の奇術を前にしながらも、依姫は臆する事なく刀を構える。
そう、彼女には神降ろしだけではなく、剣捌きの腕も備わっているのだ。何も恐れる事はない。
そして、迫って来た鉄球に向かって剣を振る。
すると金属と金属がぶつかり合った時特有の甲高い音が鳴り響くと、勢いを失った鉄球は地面にドスンと鈍い音を立てて落ちた。
難なく一つ目を叩き落とす事に成功したかのように思われたが。
(……重いわね)
それが問題となるのだった。
何せ質量が大きかったのだ。宝玉のそれに加えて金属の衣を纏い、頑丈に仕上げられていたのだから。
依姫は思いながらも、二球目、三球目と刀で弾いていった。
だが、徐々に無理が祟ってくるのだった。
重く早く飛んでくる物体を打ち返すと、それだけ依姫の肉体へ負荷が掛かってきたのだ。
(ここはやはりこちらも金山彦命を……!)
そこまで依姫は思った所でハッとなってしまう。
──今相手にしている物体は完全な金属ではないのだ。
その事に気付いた時、依姫は一瞬判断が遅れてしまった。
「ぐぅっ……」
苦悶の声を漏らす依姫。彼女は今正に鉄球の一撃を脇腹に貰ってしまったのだった。
そして、依姫に一撃をくれてやるという偉業を成し遂げた
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