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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第39話 月の巫女と楽園の巫女:前編
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「それは、他でもないわ。霊夢、私と弾幕勝負をしなさい」
「……」
 この瞬間、霊夢は「ついにこの時が来たか」と思った。彼女の勘が不確かながらも以前から告げていたのだ。
「……分かったわ」
 霊夢は快く……とはいかないながらも、その申し出に承諾したのだ。──ここで断っても事態の解決には至らないだろうと感じるからである。
「ありがとう。では早速始めましょうか。
 貴方も暇じゃないのでしょうし」
「ええ、てっとり早くお願いするわ」
 依姫の皮肉に応酬する形で霊夢は彼女との視線に火花を散らす。霊夢にも巫女としてのプライドがあるようだった。
 その二人の間で、勇美は文字通り手に汗を握っていた。──幻想郷と月の有力者同士の対決の場に自分は立つんだと。

◇ ◇ ◇

 依姫と霊夢は博麗神社の庭に繰り出し、勇美は縁側で観戦する形となった。
 そして依姫が口を開く。
「まずは私から行かせてもらうわ。貴方には遠慮は無粋であるでしょうから」
 そう依姫は言い切った。
 霊夢は基本的に弾幕勝負において相手には無慈悲であるし、霊夢程の実力の者相手には手加減など不要だと依姫が考えての事であった。
「ええ、どうぞ」
 その事を察したのか、霊夢の方も素直に頷く。
 その瞬間、依姫は弾かれるように行動した。
「【炎弾「伊の英雄の火礫」】!」
 依姫は愛宕様の力を借り、出始めにおいて得意な戦法を取る。まずは小手調べである。
 依姫の手から火の玉が投げ出され、それが霊夢目掛けて襲い掛かった。
 それを見て霊夢は「ふん」と鼻で笑うと、何事もないかのようにスペルカードも使わずに無駄のない動きで次々と回避したのだった。
 その様はまるで薄手の衣、はたまた実体のない影のようであった。
 即ち、掴み所がないのだ。これが彼女が『無重力』と称される所以である。
「凄い……」
 勇美はその様子を見て呆気に取られてしまった。──自分とは次元の違う戦いをすると。
 ちょっとやそっとでは自分がたどり着けはしない領域であると、勇美は腹を括りこの戦いを見届けようと心に決めるのであった。
「月でのあの時とは動きのキレが違うわね」
「ええ、私に侵略者なんて向いてなかったからね」
 全ての攻撃を避け終えた霊夢は、さらりとそう言ってのけた。
「これなら期待出来るわね」
 ここで依姫は心踊るような気持ちになる。これならあの時と違い『お互いに楽しむ』事が出来るだろうと。
 対して、今回心に余裕が出来た霊夢は口角を上げて言う。
「それじゃあ、次は私の番ね」
「ええ、来なさい」
 依姫もそんな霊夢に対して闘志を燃やす。
 そんなやり取りをした後、霊夢はおもむろに宙へと飛び上がった。
 そこから地上の依姫目掛けてスペルカードを繰り出す。
「【宝符「陰陽宝玉
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