第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第39話 月の巫女と楽園の巫女:前編
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ええ、まあそうよ」
依姫は相槌を打ちながらも首を傾げる。何故ハンバーグ定食を例えに出すのかと。
そうこうしている内にも、勇美と依姫は無事に博麗神社にたどり着いていたのだった。
「あー、しんどかった……」
勇美は息を切らしかけながらそう愚痴る。
何故なら彼女は神社の入り口に行くまでの石段を登って来たからである。
彼女は運動神経が良い方ではないのだ。だから今回の行為は彼女にとってはとても重労働なのだった。
対して肉体的にも洗練されている依姫は涼しい顔をしている。
「勇美、肉体の修行が足りないわねぇ〜」
「うう〜、こればっかりは体質ですからどうにもなりませんよ〜」
依姫に茶化されて項垂れる勇美。
そして依姫は『肉体の』と言った。それは勇美が能力や考え方を磨く鍛練を抜かりなくやっている事を依姫は分かっているからであった。
そんな依姫のさりげない優しさに勇美は内心嬉しくなっていた。
そうこうして二人は霊夢の元へと赴く。
◇ ◇ ◇
そして博麗神社の境内の建物の中でまったりとくつろぐ者。それが博麗霊夢その人であった。
彼女は今、彼女の動力源である緑茶を啜りながら、お茶請けの煎餅にありついていたのだ。
「う〜ん、しあわせ〜」
蕩けるような満面の笑みを浮かべる彼女は、正に今この世の極楽浄土を貪るかのような快楽に浸されていた。
だが、悲しいかな、平和とは長く続かないものなのだ。それは今の霊夢とて例外ではなかったのである。
「霊夢さん、今度は依姫さんに最後までハンバーグ定食を食べさせてあげて下さい!!」
「がああああ!!」
無遠慮に開け放たれた障子の先から突如放たれた叫びに、霊夢は驚愕してはしたない呻き声をあげてしまった。幾分か飲もうとしたお茶が鼻から出てしまったようだ。
「……!? ……!?」
霊夢は混乱した。幾ら自分が勘が優れているといっても、さすがに突如障子を開け放たれた挙げ句ハンバーグ定食などと意味不明な事を突き付けられるという突拍子もない事までは予測不能でなのであった。
「ほら、言わんこっちゃない。霊夢が混乱してるじゃないの」
あまつさえ、ハンバーグ定食発言源とは違うもう一人の方は、余り関わりたくない声の主である。
「……何しに来たのよ、依姫に黒銀勇美」
霊夢は瞬時に訪問者の構成員を言ってのけた。今度は彼女の勘がきっちり働いているようだ。
「そりゃあ霊夢さん、ハンバーグ定」
「「あんた(貴方)は黙ってなさい」」
「はうあ……」
依姫と霊夢の連携に、勇美は口の中に綿を詰め込まれたかのような感覚に陥りながら閉口した。この二人は同じ神事に就く仕事柄の関係上、どこか意識の通づる所があるのかも知れない。
そして、話をややこしくした勇美の代わりに依姫が用件を言う。
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