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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第39話 月の巫女と楽園の巫女:前編
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ね」
 そこで勇美は一呼吸置き、続ける。
「だから、ディープな関係は遠慮したいですが、お友達や話し相手ならいいかなって言うのが私の考えです」
「勇美、そんな考えが出来るようになって、着実に成長しているわね」
「ありがとうございます」
 依姫に微笑みながらそう言われて、勇美は嬉しくなるのだった。

◇ ◇ ◇

 そして、勇美と依姫はとある森の中にいた。
「依姫さん、私が自ら申し出た事ですけど、やっぱり怖いです」
「私がいるから大丈夫よ」
 今の状況に恐れる勇美に、依姫は頼もしい態度で言う。彼女の場合は実力が十分すぎる程備わっているため、決して虚勢ではないのだ。
 勇美が怖がる訳。それは二人の周囲に数多の下級妖怪が身を潜めているからだ。
 そして、ここは博麗神社の境内の森の中なのだ。
 そう、神聖な筈の神社の敷地内であるのに、あろうことか妖怪が蔓延っているのである。
 だが、幸い彼女達に妖怪が襲ってくる様子はない。それは他でもない、依姫がいるからだ。
 基本的に下級妖怪は見境なく人を襲う。人里の近くで襲ってくるのは彼等なのだ。
 だがそんな彼等であっても、依姫の力に勘づいて手を出さないようだ。依姫はそれ程の存在という事だ。
「う〜、霊夢さんは何をしているんですか〜」
 自分の敷地内で妖怪を好きにさせている巫女、博麗霊夢に対して訝りを覚える勇美。
 そう、今二人は霊夢に会うべくここへ来ているのだ。
 依姫は事前に何故霊夢に会おうと思い立ったのかを勇美に説明していた。
 曰く、依姫にとって『楽しみを途中で取り上げられてしまったようなもの』との事である。
 かつて月で依姫は霊夢との恨みっこ無しの真剣弾幕勝負を望んだのだ。
 しかし、結果は依姫達月の民にとって毒である『穢れ』を月でばら撒き、依姫の弱みに付け込み彼女の得意分野である『回避』を防ごうとする姑息な手段に霊夢は出てしまったのだ。
 幸い依姫が『伊豆能売』を降ろしてその穢れを浄化して大事には至らなかったのであるが。
 依姫にとっては最後までじっくり行いたかった勝負を途中で寸断されるような、宙に投げ出されたかのような結果に終わってしまったのだった。
 故に、今回依姫が霊夢に会いに行く理由は『きっちり弾幕勝負を完結させたい』というものなのだ。
 勿論その場に勇美が着いて行く事になったのは、依姫が強要したからではなく、勇美自身の意志である。
 勇美自身、幻想郷において弾幕ごっこという範疇ではあるが最強を誇る霊夢に、この機会に会いたいと切望したのだ。
 勇美自身も霊夢に会いたいのであるが、今回一番霊夢に会う意味合いが強いのは依姫であろう。そう思い勇美は言う。
「依姫さん、要はあの月での時、ハンバーグ定食を食べ切り損ねたような気持ちなんですよね?」
「? 
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