第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第39話 月の巫女と楽園の巫女:前編
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守矢一家との関わり合いは勇美と依姫にとっても有意義なものとなった。
だが、一つ問題が生まれてしまったのだ。
その日勇美は依姫との修行を終えて自室へ戻る為に彼女と別れようとしていた所であった。
そんな矢先、永遠亭の玄関で声がする。
「ごめんくださーい」
その声を聞いて勇美は背中にこんにゃくをぶっ込まれるが如く悪寒を感じた。
「依姫さん、あなたの部屋の押し入れに隠れさせて下さい!
居留守を使いますから、後の事はよろしくお願いします!」
「?」
そんな切羽詰まった様子の勇美に、依姫は意図が読めずに首をかしげる。
その最中にも勇美は有無を言わさずに依姫の部屋の押し入れに隠れてしまった。
玄関では永琳がその声の主に応対していた。
「何のご用かしら?」
「あ、永琳さんこんにちは。今勇美さんはいらっしゃいますか?」
「ええ、確か依姫の部屋の近くにいたと思うわ」
「ありがとうございます」
そう言って依姫の部屋の前にやって来たのは──東風谷早苗であった。
そして早苗は依姫と対峙する。
「あ、依姫さんこんにちは」
「ええ、こんにちは」
と、二人は何気ないやり取りをするが、依姫は何か違和感を覚えていた。
その気持ちを抱きながら依姫は続きを促す。
「勇美に何のご用かしら?」
「いえ、用という程の事ではないのですけどね、ちょっと勇美さんとデ」
「お引き取りなさい」
依姫は間髪入れずに断った。早苗が開けてはいけない扉を開く前に。
「うぅ……分かりましたぁ……」
早苗は陰鬱なオーラを出しながらとぼとぼとその場を後にしていった。
その様子を見ながら依姫は思った。「あの様子じゃ絶対に諦めてくれてないわね」と。
ともあれ、そんな早苗を見送った依姫は自分の部屋に隠れている勇美に呼び掛けた。
「勇美、もう大丈夫よ」
「ありがとうございます。助かりました〜」
言いながら勇美は押し入れから出てきた。
「勇美、貴方の判断は正しかったようね」
「依姫さんも、のび太くんと違って話をすぐに理解してくれて助かりましたよ」
依姫は勇美の別次元の発言も、今回は目を瞑る事にしたのだ。──何たって、先程の早苗は危なすぎたからである。
「でも、私早苗さんの気持ち、少し分かるような気がします」
「いや、分かってはいけないって」
突拍子もなく聞こえる勇美の発言に、依姫はらしくなく取り乱す。
「いえ、さすがに女の子同士なのに付き合うとか、ペットにされかけるのは勘弁ですけどね。
……早苗さんにとって私って、初めての外来人同士じゃないですか」
「あ、確かに」
依姫もそこまで言われて話が見えてきたように感じたのだ。
「要するに早苗さんは幻想郷で周りが見ず知らずの人妖達で寂しかったんじゃないかと思うんですよ
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