暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第38話 外界っ子バトル:後編
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
[前回までのあらすじ]
 勇美がミラーオブライトの第三の供物に選んだのは、エビフライでした。

◇ ◇ ◇

 勇美はそれを魔鏡の前に差し出した。すると鏡は例の如く青く不気味に光る。
「?」
 と、ここで早苗が首を傾げた。どうも様子が先程までとは違うからである。
 先程までは鏡から直接機械仕掛けの怪物が這い出るように出現したのだ。だが今回はその兆候がない。
「勇美さん、モンスターは召喚しないんですか?」
 業を煮やした早苗がここで勇美に言う。
「まあ、待っていて下さい。……あっ、そろそろですね♪」
「?」
 勇美の意味ありげな発言に早苗が訝った時だった。
 突如として、鏡の中から金属片や歯車が壊れた蛇口から噴き出す水の如く吐き出され始めた。
 それらはみるみる内に放出されると、一ヶ所に集まり徐々に形をが造られていったのだ。
「……」
 思わず早苗は無言で唾を飲む。
 勇美が鏡からモンスターを生成して繰り出す事自体は周知の事実だから問題ではない。
 問題だったのはその規模であった。
 ざっと見積もって5メートルはあろうかと言う巨体が形成されていったのだった。
 そこで早苗は合点がいった。──要するにサイズが大きいから外で組み立ててしまえという事だろうと。
 家の扉に入らないような家具などを組み立てる前のパーツの状態で持ち込むのと同じ理屈だろう。
 そして鏡から放出した金属部品達はいよいよその大規模な工作活動を終えたのであった。
 勇美はその芸術作品の名称を宣言する。
「名付けて【高烏賊「ハイクラーケン」】です♪」
 その名の通り、それは巨体を誇る化け物イカであった。それが金属で造られているので非常に圧巻である。
 そして、極め付きはその全長である。その高さから、空を飛ぶ早苗にすら肉薄する勢いなのだ。
「これだと私に届いてしまいますね」
「どんなもんですか!」
 苦悩の言葉を漏らす早苗に対して、勇美も得意気になる。
 空を飛ぶ相手と戦うのに対抗する為には、必ずしも同じく空を飛ぶ必要はないのだ。
 高い位置に付く者に対して、その距離に匹敵する全長の存在を用意する。単純だが効率的な戦術なのであった。
 だが、その理屈を可能にしているのが今の勇美というものである。
「……見事なものね勇美、ここまで腕を上げているとはね」
 それは純粋に勇美の鍛練の賜物なのであった。その事に依姫は素直に感心するのだ。
「しかし、大きいですね……」
 早苗もその様相に圧巻されながら呟く。
「違いますよ早苗さん。そこは『すごく……大きいです』じゃないと♪」
「『やらなイカ』とか言ったら後でシバきますよ」
「ちっ……」
 出鼻を挫かれて、勇美は先輩に対して無礼極まりない舌打ちなどという所業をやらかす。
 と、仕
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ