第三部
主義主張 9
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《佐々木青獅/ささきあおし》は試合が始まった時以上の動きを見せていた。
彼が覚醒した【魔晄極致】は【自己再生】と言われる類いのもので間違いないだろう。
それもあらゆる損傷を瞬時に治してしまう程の高性能なやつだ。
武器である魔晄外装も再生できる。
これは《立華紫闇》の【融解】と相性が良い【異能】だったらしい。
青獅の槍が命中する場所へ血液を集めてガードすることで触れたものが溶けるのだが、直ぐに再生して防御をすり抜けてしまう。
せっかく溶かしても意味が無く、無効化と変わらないではないか。
(メチャクチャだ。再生が増えただけでこんなに厄介になるとは)
紫闇は冷や汗が止まらなかった。
青獅は再生と共に【魔晄神氣】も使っているのだが、これが一体何を意味しているのか。
理解できる紫闇は更に気分が重い。
(再生することで24時間の内、8分しか使えない制限は無くなったらしいな)
青獅は【反逆者の灼炎】によって紫闇よりも一段速く、強い動きが出来る。
つまり彼は常に紫闇より上のパワーとスピードを有した状態だということ。
【珀刹怖凍】による時間の停滞や凍結を受けてもそれは変わらない
ダメ押しに体温感知で細部の動作まで把握しているので紫闇が起こそうとしている肉体運動は先読みされてしまう。
おかげで紫闇の主体とする体術は全て躱され青獅の槍は面白いように当たる。
おまけに紫闇の攻撃を喰らってもダメージが回復するから意味が無い。
「いや、無理だろ」
こんな反則的に相性が悪い奴に勝てるわけないと観客の殆どが諦めていた。
しかし戦っている紫闇は違う。
(レイアさんが《白鋼水明/しろがねすいめい》に使ってた『アレ』は俺も使えるみたいだしな。やってみるか)
紫闇が[音隼]を発動。
背部と足から金色の魔晄粒子が噴出し、あっという間にスタジアムの上空まで飛ぶ。
(佐々木は炎熱の類いを無効化できるみたいだが、生憎とこいつは物理に縛られないんでな)
紫闇の背部に金属で出来たような黒いウイングが二枚生えて彼を浮遊させる。
そして両手には指の先に鋭い鉤爪が付いた黒い手甲のようなものが現れた。
右腕の魔晄外装は手甲と融合。
「何だ、あれ……?」
青獅は初めて見る紫闇の姿に戸惑い足を止めて空から降りてくるのを待つ。
(恐らく佐々木の持つ最大攻撃射程は火炎を使う時の20メートル。ということは、その外側から攻撃すれば良いわけだ)
しかし青獅には再生が有る。
それはどう
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